“ザ ネイチャー オブ タイム”。最高峰の品質を提供する「グランドセイコー」が掲げている、ブランドフィロソフィーです。時の本質を追い求めるとともに、日本ならではの季節のうつろいや独自の美意識をかたちにすることでグランドセイコーにしか表現できない世界観を築き上げています。
正確な“時”を刻む本格志向の自動巻きムーブメントの安心感と、雪の結晶のような模様が施されたマザー・オブ・パールの文字盤。そこには腕時計の存在を超えた芸術的な美しさが宿っています。
グランドセイコーが志す腕時計とは、正確で、見やすく、そして美しい時計。誰もが満足できる最高峰の「時間」を提供するには、開発から設計、製造、組立、調整、検査、出荷までをすべて自社で担うという妥協のない腕時計への情熱が必要です。
自然への親しみは、実際に腕時計を製造する現場にもインスピレーションを与えています。岩手県雫石町にある「グランドセイコースタジオ 雫石」は、メカニカルウォッチの新たな製造拠点として2020年にオープンしました。
岩手山を背景に自然に溶け込むように佇む工房は、日本を代表する建築家・隈研吾が手がけたものです。木の温もりに包まれた外観は、これまでの時計工房にはなかったモダンな設計。しかし一歩中に入れば、熟練の時計技能士がムーブメントと真剣勝負で向き合う緊迫した空気が伝わってきます。
グランドセイコーの自動巻きムーブメント、キャリバー「9S27」は、レディス用として小型に設計され、この雫石の工房で組み立てられています。その精度を決めるのは、ミリ単位の調整を丹念に行う職人の手。ゆえに1日に組み上げられるのはごく僅かで、大量に生産することはできません。
1960年の初代以来、ブランドのシンボルである獅子の紋章には、百獣の王として腕時計の最高峰を目指すという想いが込められています。グランドセイコーの腕時計は、「美しい」と同時に「正確」でなければならないのです。
グランドセイコースタジオ 雫石
ブランド誕生60周年の節目の年に誕生した、メカニカルウォッチ専門工房。「現代の名工」に選ばれたベテランの時計技能士たちが作業に従事し、また後継者育成にも力を入れています。工房は一般公開しているので、予約すれば誰でも見学することができます。岩手山を一望できる2階のラウンジには、ここでしか購入することができない希少なグランドセイコーも展示・販売。
1950年代、高級腕時計といえばスイスを中心とする舶来時計でした。そんな中「世界最高峰の腕時計を作り出す」として立ち上げられたのがグランドセイコーです。1960年の初代グランドセイコーの裏蓋には、時計界の王を目指すとして獅子の紋章が刻まれました。写真はグランドセイコースタジオ 雫石のエントランスで来訪者を迎える獅子のモニュメント。
機械式ムーブメントは、小さくなればなるほど製造が難しくなるといわれています。小さなレディスウォッチはムーブメントも小型でなければ収まりません。専用設計となるため、レディスはメンズに比べてクオーツムーブメントの仕様が多い傾向にありましたが、グランドセイコーは日本人女性の腕にもフィットする小型のキャリバー「9S27」を開発し新たな扉を開きました。
世界トップクラスの時計メゾンが軒を連ねる銀座並木通りに、グランドセイコーのフラッグシップブティックがオープンしました。什器やインテリアが最新のコンセプトで展開されており、重厚感を重視したこれまでのブティックとは一線を画す明るく透明感のある店内が印象的。最新モデルや希少な限定モデルがいち早くラインアップされ、ゆったりとお買い物を楽しむことができます。
グランドセイコーフラッグシップブティック 銀座並木通り撮影/Fumito Shibasaki 〈Donna〉 構成・文/市塚忠義 『家庭画報』2024年1月号掲載。この記事の情報は、掲載号の発売当時のものです。