特に自覚症状はないのに、見えにくいと気づいたときにはかなり進行している恐ろしい目の病気の一つが、緑内障です。一方で、緑内障のスペシャリストである
井上眼科病院院長の井上賢治さんは、「緑内障は早期に発見し、初期段階から適切な治療を行えば、決して怖い病気ではなく、かなりの確率で失明せずに生涯を過ごすことができる」といいます。
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【前回】放置すれば失明の可能性も、自覚症状はほぼなし「緑内障」はどんな病気?緑内障予防の第一歩としてまず意識したいのが、毎日の生活習慣。あなたも知らず知らずのうちに目に悪い行動をとっているかも……。井上さんの新著『いちばん親切でくわしい 緑内障の教科書』から一部を抜粋・再構成してお届けします。
目を不健康にする習慣は今すぐストップ !
文・井上賢治(井上眼科病院院長)実は、毎日特に意識することなく繰り返している生活習慣の中に、眼圧を上げてしまったり、目に負担をかける可能性があるNG行動があります。
それは、かたよった食事や、運動不足、喫煙やストレス、睡眠不足といった生活習慣などです。これらが糖尿病や動脈硬化、心臓病や脳卒中などの病気につながってしまうことは、皆さんもよくご存知でしょう。
緑内障の原因はわからないことも多いですが、多くの生活習慣病と同じく、加齢や体に負担となる生活習慣が関わっているのは確かです。年齢を重ねるのは止められませんが、生活習慣を改善することで、老化スピードを落としたり、病気を予防したりすることはできます。健康的な生活習慣は、目のためにも大切なことなのです。
イライラや興奮、大声で 怒鳴るなどの行為は眼圧を急上昇させる。カッとなってしまったら深呼吸を。
NG行動で特に重要なのは、直接的に眼圧を上げてしまう可能性がある行動です。うつ伏せやうつむく姿勢、逆立ちなど、目の前面や頭を下にするような姿勢は、眼圧を上昇させるためできるだけ控えましょう。仕事の合間に眠くなって、机につっぷして居眠りする。腹ばいになって本を読んだりタブレットで動画を見たりする。そんな何気なくしている行動が、眼圧を上げてしまうかもしれないのです。
また、現代人は誰もが多少のストレスを抱えています。ストレスはあらゆる病気と関係していますが、緑内障も例外ではありません。ストレスが血圧を上げ、眼圧に影響することも考えられます。網膜への血流も悪くなり、視神経にもダメージを与えることがあるかもしれません。急に興奮したりイライラしたりすることで眼圧が急上昇し、緑内障発作を引き起こすこともないとは言えません。完全にストレスのない生活を送るのは難しいものですが、ストレスのもとになることを避けたり、 ストレスを解消する術を身につけておきたいですね。
避けたいNG行動を紹介します。すべてをやめるのは難しいでしょうから、できる範囲、続けられる範囲で試してみてください。
緑内障と診断された人は点眼薬による治療をしっかり続けながら、生活習慣を改善し、悪化を防ぎましょう。