連載「季節のクリッピング」1月 小寒・末候
雉始雊(きじ はじめて なく)
選・文=平井正則(日本暦学会会長)気象の変化や動植物の動きに焦点を当て、季節の移ろいを捉える七十二候。特に旧暦の七十二候は江戸の人々の生活に深くしみ込み、私たち日本人の心の底辺を形成したといいます。
「雉始雊」は七十二候小寒· 末候(1月15日から19日)。まるで盛装したような赤や緑の逞しい衣装の俊敏な雄雉が雌雉を求めて、「ケーン、ケーン」と甲高く鳴いて飛び交う季節がいよいよ始まるという意味です。この時期茂みから聞こえる、天に届くほどの独特の雄雉の鳴き声は、飛鳥以来日本人の生活を飾る季節感として多くの詩歌に詠み込まれました。
〈作品〉制作・撮影= 岡本なう(洗濯バサミフォトグラファー)約90 個の洗濯バサミを挟み合わせた雄の雉。胴体の中心から3色の洗濯バサミを使いグラデーションを出しました。羽の表面についているのはガーデニング用の洗濯バサミです。実際に野生の雉が出ることもある自宅の庭で撮影。