連載「雨のことば」1月 氷雨(ひさめ)
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士)氷雨とは冬の凍るような冷たい雨や、みぞれのこと。古くは日本書紀にも記述があり、その頃はひょうやあられのことをさしていたようです。みぞれというと、小さい頃の僕は積雪の予報を楽しみにしていたら、みぞれまじりな雪が降り、積もらずに溶けてしまい……しかも観測上はみぞれは雪なので初雪となって……なんだか残念に思ってしまいがちでした。
ところで皆様は人生で初めて透明ビニール傘を差したときの感動を覚えていらっしゃいますか。雨を真下から見られる! しかも濡れずに!と僕はとても感動しました。
その中でも、みぞれが雪のように降りながら、傘の上ですぐ溶けていくその様は、儚い美しさも感じさせて、なんだかみぞれも悪くないなあ、と思ったりしました。漢字では霙(みぞれ)。「英」には美しい花の意味があるそうです。
この時季の雨のことば霙(みぞれ)
寒九の雨(かんくのあめ)
富下り(とみさがり)
冬雨(とうう)
凍雨(とうう)