クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第101回 メシアン『鳥のカタログ』
イラスト/なめきみほ
鳥の声を音楽に移し替えた心優しきメシアンの名作
今日12月10日は、フランス近代を代表する作曲家オリヴィエ・メシアン(1908~92)の誕生日です。
幼少期から作曲を始めたメシアンは、1931年に22歳でサン・トリニテ教会のオルガニストに就任し、26歳で『キリストの昇天』を発表します。召集を受けて参戦した第二次世界大戦においてはドイツ軍の捕虜となり、収容所で『夜の終わりのための四重奏曲』を作曲するなど波乱万丈。1942年にパリに戻り、母校「パリ国立高等音楽院」の和声学教授に就任します。
生徒の中には『パリは燃えているか』(NHKスペシャル『映像の世紀』テーマ音楽)で名高い加古 隆も存在。その後、前衛的な音楽の探求に疑問を感じたメシアンは、鳥の声を題材とした作品を手がけはじめます。13曲からなる『鳥のカタログ』はその代表作。フランスの主だった鳥の名を表題としたこのピアノ曲集は、演奏時間3時間半にも及ぶ大作です。
初演は1959年4月15日、妻でピアニストのイヴォンヌ・ロリオによって行われ、作品は、モデルとなった鳥たちと妻に献呈されています。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。