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“史上初のサイケデリックな交響曲"⁉ 作曲家自らの妄想を描いた『幻想交響曲』

2023.12.11

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第102回 ベルリオーズ『幻想交響曲』

イラスト/なめきみほ

バーンスタインいわく“史上初のサイケデリックな交響曲"

今日12月11日は、フランスの作曲家エクトル・ベルリオーズ(1803~69)の誕生日です。前期ロマン派を代表する作曲家ベルリオーズの名は、恋い焦がれた女優ハリエット・スミッソンを巡る自らの妄想を描いた『幻想交響曲』とともにあるようです。

「ある芸術家の生活のエピソード」という副題がつけられたこの曲の冒頭には「病的な感受性と、激しい想像力を持った若い芸術家が、恋に絶望してアヘン自殺を図るが死に至らず、奇妙な幻想を見る」という内容の文章が置かれ、5つの楽章にもそれぞれ、「夢・情熱」、「舞踏会」、「野の風景」、「断頭台への行進」、「サバトの夜の夢」という標題がつけられています。

自らの失恋体験を音楽で告白したこの作品は、「標題音楽」の先駆けとして、後に続くリストやワーグナーらにも大きな影響を与えています。初演は1830年12月5日パリ。その3年後には、憧れのスミッソンと結婚したベルリオーズでしたが、その結婚生活は、決して幸せではなかったようです。



田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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