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松本幸四郎夫人・藤間園子さんが案内する「黄八丈」の魅力。3色の糸が織りなす無限の可能性

2023.12.15

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「黄八丈に袖を通してみて、しっかりと打ち込まれた生地であることが瞬時に伝わってきました」
うっすらと光を放っているかのように見え、華やかさのある黒八丈の訪問着。裾模様にはアトランダムに大小をつけためがね織りの柄をあしらい、シックでモダンな印象に。きもの/山下芙美子(黄八丈めゆ工房) 帯/京都服部 ときね 帯揚げ/こまもの玖 帯締め/渡敬 バッグ/銀座ぜん屋本店

“ないもの”を生み出すものづくりへの意欲

藤間 私が着させていただいた黒の訪問着は輝きも違いますし、お出かけに最適ですね。それに工房で拝見した生地のぼかしは、クロード・モネの絵画のようだと思いました。

山下 あの反物はぼかし染めに見えるような織り方はできないかと試みてできたものなんです。“今までにないもの”を作りたくなるんですよ。

藤間 先生はどういうことから着想を得て作品を作られるのですか?


山下 モネの絵をイメージしていただけたものは、もちろん絵を見て思いついたものですね。また、海外に行ったときにヨーロッパの石畳を見て、この石畳の雰囲気を織り方で表現できないかなと思いました。それで織り上がった生地に“プロヴァンスの石畳”と名づけました。夕焼けをイメージして織ったこともありますが、夕焼けは赤だと思うでしょ?

藤間 そうですね。樺色の濃淡で織るのでしょうか?

山下 八丈島の夕焼けは赤ではないんですよ。紫とか、黒、青、グレーが混じり合った感じに織って、作品展に出品したら、「まさに島の夕焼けですね」と知人にいわれました。

タブノキの幹の樹皮をはがしたもの。内側に赤茶の色素がある。山下家の山に自生した木を用いている。

樹皮をかごに入れ、3、4時間かけて煮出して染料を作る。

たらいに糸を並べ、煮出してできた熱い染料をまんべんなくかける。そのまま糸を翌朝まで浸しておく。この作業をすることで色素が糸に染み込んで、樺色に染まる。

藤間 経糸と緯糸の組み合わせでその表現ができるのはすごいですね。まるで絵を描かれているようです。

山下 それが楽しいんです。3色しかないことと絣がないという制約があったことが、私にとって“幸せ”でした。赤色と青色の染料がないことも差別化ができますよね。黄八丈に藍染めや紅花染めがあったら、ほかの織物と同じになってしまいます。

撮影/本誌・坂本正行 着付け/伊藤和子 ヘア&メイク/AKANE 構成・文/山下シオン

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