クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第117回 ベッリーニ オペラ『ノルマ』
イラスト/なめきみほ
薄命の作曲家ベッリーニの最高傑作に思いを馳せる
今日12月26日は、イタリアのオペラ作曲家ベッリーニ(1801~35)のオペラ『ノルマ』の初演日です。
シチリア島カターニアに生まれたベッリーニは、ロッシーニやドニゼッティと並ぶ、人間の声を重視した「ベルカント(美しい歌)」を代表する作曲家です。“ロッシーニ以来の天才”とたたえられながら、わずか34歳でこの世を去ったベッリーニの美しい音楽は、同時代の多くの作曲家たちを魅了。ショパンも影響を大きく受けた1人でした。
そのベッリーニが30歳の時に手がけたオペラ『ノルマ』は、ベルカント・オペラの最高傑作といわれる名作です。初演は1831年12月26日、ミラノ・スカラ座のシーズン開幕公演。大好評を博した前作『夢遊病の女』と同じフェリーチェ・ロマーニが台本を手がけたこの名作は、“カターニアの白鳥”と呼ばれた薄命の作曲家ベッリーニが残した最も美しい音楽の一つでしょう。
中でもソプラノのアリア「清らかな女神よ」は、世紀のプリマドンナ、マリア・カラスが得意としていた名曲です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。