クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第119回 ヴィヴァルディ ヴァイオリン協奏曲集『四季』
イラスト/なめきみほ
クラシック史上最大のヒット曲とは
今日12月28日は、英国のヴァイオリニスト、ナイジェル・ケネディ(1956~)の誕生日です。
1977年にリッカルド・ムーティ指揮フィルハーモニア管弦楽団との共演でプロデビューを果たしたケネディの名を一躍有名にしたのが、1989年に発売されたヴィヴァルディ(1678~1741)の『四季』でした。
ケネディの奇抜な容貌とも相まって、発売と同時に大きな話題を呼んだこのアルバムは、UKチャートで1年間にわたって1位をキープ。結果的に全世界で300万枚を超える売上を記録し、史上最高の売上を達成したクラシック作品としてギネスブックにも登録されたのですからびっくりです。
その演奏は今聴いても新鮮そのもの。切れ味鋭いヴァイオリン・ソロによって、『四季』がヴァイオリン協奏曲であることを改めて認識させてくれます。「春・夏・秋・冬」の4曲からなる『四季』は、1725年の出版直後から大人気だったと伝えられます。まさに“時を超えた大ヒット曲”ですね。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。