体に負担をかけないように遠隔から刺激する治療を実施
東洋医学では「四診」と呼ばれる独特の診察法を用いて心身の状態を観察します。
「自律神経が乱れている人は緊張が強く、ストレス過多になっていて、それらの多くはおなかの張りに現れます。例えば両側の肋骨の下を押したときに指先が入らないほど張りが強い『胸脇苦満(きょうきょうくまん)』といわれる状態です」。
そのため、金井先生は腹部を特に重視して触診します。また、おなかと同様に張ってきやすい首すじの状態も触診で確認します。耳の付け根あたりが張っている場合は睡眠障害を起こしていることが多いそうです。
「緊張しているおなかや首すじを緩めることで自律神経を整えます。その際、患部を直接刺激するのではなく、関連する経絡(けいらく)※(エネルギーが流れる通路)とその経絡上のツボを使い、手足などの遠隔から刺激を与えます。そのほうが体に負担をかけない優しい治療になるからです」
おなかの張りに効果がある経絡は肝経(かんけい)と心包経(しんぽうけい)です。ツボは内関(ないかん)(手首内側)や太衝(たいしょう)(足の甲)を使います。首すじの張りには三焦経(さんしょうけい)の経絡と翳風(えいふう)(耳の付け根)、外関(がいかん)(手首外側)のツボを刺激します。
「これらのツボに鍼刺激を与えると、おなかや首すじの緊張が緩んでいくのがよくわかります。肋骨の下を押すと指先がすっと入るようになり、横隔膜の動きもよくなって浅かった呼吸が深くなり、心身ともに楽になります」。
自律神経の乱れは、これらの部位以外にも現れることがあり、金井先生は触診を中心に全身の反応を見ながら、効果的な経絡とツボを選んで治療していきます。
「体から聞こえてくる声を大事にしています。その声を聞きとれることこそが鍼灸の持ち味であり、個別性の高い治療と未病の予防につながっていくからです」。
※経絡とはエネルギーが流れる通路のことをいい、全身に12本の特性を持った流れがある。
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鍼灸治療6000円(税込み)
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