シリーズ4冊が好評発売中の「いちばん親切な着物の教科書シリーズ」(世界文化社)より、新春から役立つ着物知識を全10回でお届け。第3回は『着物入門』から一部を抜粋して、色無地についての理解を深めます。
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初めてでもよくわかる「色無地」の基礎知識
着物は帯を締めることで、着姿が完成しますが、その着物と帯は、生地の素材や柄つけなどによってランク(格)が変わり、着ていく場所にも大きく影響します。まずは、基本的な着物と帯の種類を覚え、それぞれの特徴を知りましょう。奥深い着物の世界ですが、少しずつ知識を蓄えることで、和装の新たな楽しみ方が見えてきます。
色無地(いろむじ)は一色で染めた無地の着物。紋をつけて、慶弔両用の準礼装に
もしも、限られた枚数で着物を揃えるなら、ぜひワードローブに加えたいのが色無地です。一色染めなので、単調に思えるかもしれませんが、生地選びや紋のあしらい方によって表情が変わり、帯合わせがしやすく、半衿によって衿もとのお洒落も楽しめます。
もっとも一般的な一つ紋付きの色無地。格式のある袋帯を合わせれば結婚式や初釜などに、名古屋帯なら観劇や食事会に。明るい黄色系は慶事用。
色無地は基本的に、まず白生地を選びますが、この白生地には地紋のないものと地紋入り(綸子や紋意匠)があり、それぞれ仕上がりが異なります。
地紋のないものはシンプルな美しさがあり、地紋入りの場合は立体感が魅力。地紋入りを慶弔に両用したいのなら流水や雲、波などの模様を、慶事用なら吉祥文様をおすすめします。
右・染める前の白生地色。無地に用いる白生地は、縮緬、綸子、地紋入り御召(おめし)、紬などさまざまな種類があります。用途に合わせて、適したものを。左・染めた後の色無地。白生地を染めたものが色無地。同じ地紋入りでも、色によって印象が変わります。写真のブルー系とベージュ系は、どちらも慶弔両用に。
色は好みでよいのですが、明るく華やかなものは慶事に、両用にする場合は紫、藍(あい)、緑、グレーなどが向きます。
また、色無地に欠かせないのが紋です。五つ紋を入れると改まった式服になり、三つ紋は無紋の訪問着よりも格上とされます。
もっとも一般的なのは一つ紋で、正式な染め抜き紋以外に、加賀紋や刺繡紋をつけることもできます。
色無地のコーディネート( 結婚式・パーティなど)
色無地のコーディネートの一例です。着物や着用する場に合わせて、必要な小物を選びましょう。
色無地綺麗なパステルグリーンの色無地は、幾何学模様の控えめな地紋入り。合わせる帯で印象が変わります。慶事用。
帯結婚式のようなおめでたい席には、古典柄の袋帯がよくなじみます。若い人が着用するなら、金糸銀糸を控えめにして、お洒落感を優先。
帯揚げ色無地が寒色系なので、黄色やピンクなどの暖色系でやわらかさを。
帯締めピンクとブルーの2色づかいで華やかに。
半衿白にボリュームのある地紋入りで、衿もとを若々しく。白の塩瀬や縮緬の場合は、伊達衿を重ねて華やかさを出すのもお洒落。
バッグ祝儀用にはお洒落なパーティ用を。手提げタイプの場合も、小ぶりなものがエレガントに見えます。
草履布製の太めの鼻緒をあしらったはきやすい草履。淡い色なら台と鼻緒は別々の色でも。
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