【特集】今、世代を超えて世界が夢中 「昭和レトロ」の魅力
1926年から1989年までと長く続いた昭和の時代。特に70年代、80年代のカルチャーが、1997年から2012年に生まれたZ世代には、今、魅力的に映っているといわれます。
今回、この“昭和レトロ”人気の謎を探るべく、リアル体験世代の50代、60代に加え、昭和レトロに造詣の深い20代、30代のかたがたにもアンケートを施行。そこから浮かんできたのは、“テレビの時代” “大らかで、キラキラした時代” “人もモノも大切に作られていた時代”といったキーワードでした。
若者の動向や嗜好に詳しいSHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣さんも、昭和レトロ人気を「テレビを中心に家族や仲間が集まり、一つのトレンドに一体感を共有する爆発力。皆がその時代を楽しみ、面白がっていたパワーを、若者世代はどこか羨ましく感じ、憧れる気持ちがあるのだと思います」と分析。
特集前半ではノスタルジーとポップさが渾然一体となった昭和レトロの作品やアイテムを、後半ではシティポップの魅力をたっぷりお届けします。
青春のメモリー「ハートカクテル」。わたせせいぞうさんインタビュー
海岸の風と光が煌めく、わたせせいぞうさんの世界。優しさ漂う作品は今も愛され続けています。1986年にアニメ化された「ハートカクテル」が、時を経て2023年春『ハートカクテル カラフル』(NHK)として登場したのも記憶に新しいところ。恋愛の名手が描き続ける令和の恋愛模様が注目を集めました。
アメリカ西海岸をイメージした「Sea breeze kiss」(2020年)。右から左に流れる雲、海、丸みを帯びたクルマ、そして想いを育むカップルたち。わたせせいぞうさんが描く作品は人間愛に満ちている。© SEIZO WATASE / APPLE FARM INC.