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オペラ座初の女性奏者でハープの名手、リリー・ラスキーヌが奏でる『フルートとハープのための協奏曲』

2024.01.04

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第126回 モーツァルト『フルートとハープのための協奏曲』

イラスト/なめきみほ

モーツァルトの創作意欲をかき立てたパリの風景

今日1月4日は、フランスのハープ奏者リリー・ラスキーヌ(1893~1988)の命日です。

ユダヤ系ロシア人の両親の元に生まれたリリーは、幼い頃から音楽の才能を発揮。なんと16歳でパリ・オペラ座管弦楽団にハープ奏者として入団します。それがオペラ座初の女性奏者であったことも画期的です。

その彼女の代表的な録音が、フルートの名手ジャン=ピエール・ランパル(1922~2000)およびパイヤール室内管弦楽団との共演によるモーツァルトの『フルートとハープのための協奏曲』でしょう。1778年にパリを訪れたモーツァルト(1756~91)が、フルート愛好家のギーヌ公爵と、ハープを嗜むその令嬢のために書き上げたこの作品は、当時パリで流行していた、「サンフォニー・コンセルタント」と呼ばれる“複数の独奏楽器を用いた協奏曲”の最高峰です。


結果的に作曲料は支払われず、失意のうちにパリを去ったモーツァルトでしたが、残された音楽はため息が出るようなすばらしさ。ラスキーヌとランパルによる名演がこの美しい作品に花を添えます。


田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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