クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第129回 プーランク『ピアノ協奏曲』
イラスト/なめきみほ
お洒落なパリっ子プーランクの謎めいたメロディに浸る
今日1月7日は、フランス近現代の作曲家フランシス・プーランク(1899~1963)の誕生日です。以前はフランス・バロック期の作曲家フランソワ・クープラン(1668~1733)と混同されることが多かったプーランクですが、その評価は近年とても高まっています。
そのプーランクの個性満載の作品が『ピアノ協奏曲』です。不思議なメロディに彩られたこの曲は、1949年にアメリカ演奏旅行に出かけたプーランクが、ボストン交響楽団から委嘱された作品で、翌1950年にプーランク自身のピアノで初演されています。
20世紀半ばに作曲された「現代音楽」の範疇に入る作品ですが、音楽はとてもメランコリック。映画『ハリー・ポッター』にも通じるようなファンタジー気分を味わえること請け合いです。
生粋のパリっ子で、シャンソンも数多く手がけた“エスプリの作曲家”プーランクにぜひご注目ください。「プーランクが好き」という言葉は、きっと新鮮に受け止められるはずですよ。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。