クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第131回 武満 徹『ギターのための12の歌』〜ビートルズ編曲作品
イラスト/なめきみほ
ビートルズ愛が溢れ出るギター作品とは
今日1月9日は、ビートルズが解散した日です。1970年4月10日にポール・マッカートニーが脱退宣言を行った日から4年余り経過した1975年1月9日。20世紀を代表するロックバンド「ビートルズ」は、この日正式に解散したのでした。
彼らが残したすばらしい音楽の数々は、クラシック界にも大きな影響を与えています。さまざまな音楽家による編曲作品が存在する中でも、日本を代表する作曲家、武満 徹のビートルズ愛は破格です。ピアニスト高橋アキのプロジェクト「ハイパー・ビートルズ」の一環で行われた『ゴールデン・スランバー』のソロピアノ用編曲はその筆頭。ビートルズ12作目のオリジナルアルバム『アビイ・ロード』に収録されたこの曲は、解散が危惧される中で収録されたビートルズの“白鳥の歌”といった趣です。
そして武満の代表作『ギターのための12の歌』に収められた『ヒア・ゼア・アンド・エヴリウェア』『ミッシェル』『ヘイ・ジュード』『イエスタディ』の4曲もまた格別。まさにビートルズ愛の証しのような作品です。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。