クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第136回 モーツァルト『交響曲第41番“ジュピター”』
イラスト/なめきみほ
モーツァルト作品につけられたKの文字は一体何?
今日1月14日は、オーストリアの音楽学者ルートヴィヒ・フォン・ケッヘル(1800~77)の誕生日です。
彼の業績の筆頭は、1862年に発行された『ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの全音楽作品の時系列主題別目録』の出版です。作品に付けられた通称「ケッヘル番号」は、モーツァルトの作品を年代順に表す世界共通の認識番号であり、改定されながら21世紀の現在に至るまで愛され続けている表記であることが重要です。
通常はK.(ドイツ語圏ではKV)で始まる数字で表記され、K.1(ケッヘル1番)の『メヌエット』から、K.626(ケッヘル626番)の『レクイエム ニ短調』までの626の数字によってモーツァルトの珠玉の作品が分類されています。
ちなみに1955年に創立されたモーツァルトの愛好団体「日本モーツァルト協会」においては、会員になると「ケッヘル番号」が付与されるという特典があります。熱烈なモーツァルトファンの集まりだけに、自分がどの作品に該当するのかは重要なポイントなのでしょうね。今回はK.551の『交響曲第41番“ジュピター”』をご紹介。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。