クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第137回 チャイコフスキー バレエ『眠れる森の美女』
イラスト/なめきみほ
ロシアから愛を込めて
今日1月15日は、ロシアの作曲家チャイコフスキー(1840~93)のバレエ『眠れる森の美女』の初演日です。
チャイコフスキーが手がけた2作目のバレエ音楽『眠れる森の美女』は、『白鳥の湖』『くるみ割り人形』とともに“チャイコフスキーの3大バレエ”の1つに数えられる名作です。その壮大なスケールと気品は、チャイコフスキーの書いたすべての劇作品の中でも頂点に位置するすばらしさです。
初演は1890年にサンクトペテルブルクのマリインスキー劇場。物語は、邪悪な妖精カラボスに「糸紡ぎの針で指を刺して死ぬ」という呪いをかけられたヒロイン、オーロラ姫が、リラの精の予言どおり、死なない代わりに100年の眠りについた後、デジレ王子のキスによって目覚め、姫と王子は結ばれるというラブストーリーです。
フランスの詩人シャルル・ペローの同名のおとぎ話を台本にしたこの物語は、チャイコフスキーのすばらしい音楽によって、永遠不滅の輝きを放つバレエ作品となったのでした。
田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。