2.高橋さん「代表的、印象深いプログラム」編
三井不動産アイスパーク船橋でのアザーカットから。ジュエリー撮影しかり、瞬時に世界に入り、さまざまな表情を見せる高橋さん。さすが唯一無二の表現者。写真/坂本正行
高橋さんが挙げてくださった「スワン・レイク ヒップホップバージョン」、「道」、「ビートルズメドレー」の3曲。誌面上で、そのプログラムを選んだ理由を見て、ぐっときた方も多いかと思いますが、“ときぐすり”とでもいうべきか、こうやって俯瞰して冷静に向き合える段階まで進んだということなんだなと受け止めました。
なぜなら「アイスダンスのプログラムは入れなくていいですか?」と尋ねると「もう、この時代はひたすら楽しくて悪い記憶のプログラムがない」。「悪い思い出ではなくていいですから(笑)」とお伝えしたところ、「正直、アイスダンスは最近過ぎて、自分の中でまだ振り返る心境になっていないんですよね。ある程度の時間を経て考えた時、あの頃の心境はどうだったのかなと見えてきたり、向き合えるようになるのかもという気がします」。
その言葉を聞き、日本の歴代最高得点を叩き出したアイスダンス時代を経た今、さまざまな記録や自信に上書きされ、ソチ五輪は高橋さんの中で向き合える記憶になったのではないか、と感じました。
2024年2月開催予定のアイスショー「滑走屋」をはじめ、これからも続いていく、村元哉中さん、高橋大輔さんのエンターテインメントの世界。2024年もまた私たちを楽しませ、驚かせてくれる出来事がたくさん待っているに違いありません。
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小松庸子/Yoko Komatsuフリー編集者・ライター。世界文化社在籍時は「家庭画報」読み物&特別テーマ班副編集長としてフィギュアスケート特集などを担当。フリー転身後もフィギュアスケートや将棋、俳優、体操などのジャンルで、人物アプローチの特集を企画、取材している。
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