唯一無二のスターの素顔 「郷ひろみ」という人生 2024年、レコードデビューから52年を数える郷ひろみさん。昭和、平成、令和と変わりゆく時代を「郷ひろみ」として駆け抜けてきた稀代のスターは、「走れるところまで走り続けたい、さらなる高みを目指します」。穏やかな語り口に、変化を恐れずひたすら努力を重ねてきた自信を滲ませます。
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「これから迎える70代も全力でいきたい」
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フォトギャラリーを見る>> 「楽しく生きていこう!」。笑顔からも、ポジティブなエネルギーが伝わってくる。
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心の柔軟性を大事にさらなる未来へと向かいたい
郷さんの生き方に多大なる影響を与えたお母さまは御年90歳。今なお息子に発破をかけるかくしゃくぶりとか。
「『あんたより先に死ねないからね。生命保険の受け取りは私にしておいてくれる?』って。かなわないですよね(笑)。今や、口を開けば数年前に亡くなった親父の悪口ばかり。そのくせ、親父をいちばん愛しているのもおふくろですから。毎日、お仏壇にいちばんにお供えをして手を合わせていますよ」
母の前ではたじたじといった様子の郷さんも、68歳を迎えました。「年齢は単なる数字にすぎない」とはよく言うけれど、変わらぬスタイルもステージで見せる激しいパフォーマンスも、年齢を超越していると言わざるをえません。まさに奇跡の68歳! 若々しさを保つ秘訣は、トレーニングのほかにもあるのでしょうか。
「お酒をやめてもう10年以上経ちますね。食事は遅い時間には食べないです。夜のコンサートのときは始まる前に少し食べて、終わってからは食べない。おいしいものは食べたいですよ。ただ僕の場合、腹6分目でいいかな。あとは、体もそうだけれど、心の柔軟性を保つことが重要だと思うんです。人間の水分量って、年々少なくなっていって僕ぐらいだと50%ほどしかない。だから、どうしても体は硬くなっていくけれど、心もそうなんでしょうね。心の柔軟性を保つためには、人の話を聞くこともすごく大事だろうし、たとえば僕よりずっと若い歌手に対してでも、もし興味をもったなら、僕にはないものは何かを考えてみる。それを咀嚼して自分の中に取り入れていきたいと思う。そういった意識をもち続けることで、ある程度心の柔軟性は保たれるのかもしれません」
60歳で雑誌に連載を始め、のちに『黄金の60代』として上梓。ご自身はいよいよ60代を締めくくっていく年齢に。
「いろいろな経験を糧に自分がいちばん力を発揮できて、人にもやさしくなれるのが60代という年代なんだろうと、僕は思ったんです。だから『黄金』と名付けて読んでくださる方も『黄金の60代』を過ごしてくれればいいな、という思いを込めました。僕の場合は、そうだな……人生で起こったことを『ツイてない』ではなく『こんなこともあるさ』とポジティブに捉えて、とにかく楽しく生きていこう!と再確認した。そんな60代だったと思います」
「黄金の60代」から来たる「プラチナの70代」へ。郷さんは、未来をどのように思い描いているのでしょう。
「自分が郷ひろみとしてやっている以上は、全力で走り続けたいと思います。ただ、自分が目指しているパフォーマンスができなくなったり、何か感じることがあったりしたら、スパッとやめるかもしれない。わからないですよ。でも、先のことはあまり考えてないです。これまでもただ必死にやってきて、結果的に52年という数字になったわけですから。僕がこうしてやり続けることで、少しでも明るい気持ちになれる人がいるんだったら、そういう人たちのために頑張っていきたい。ひとりじゃない。だからこそ、次に向かうことができるんです」
最後は、まるで自分に語りかけるようにひと言。
「僕は僕らしくやっていけば、それでいい」
“郷ひろみ”の宝物
愛犬・つぼみちゃん
SNSにもしばしば登場。愛くるしさにスターもメロメロ。(郷ひろみオフィシャルInstagramより)
90歳を迎えた母
この母にして郷ひろみあり。「この母親でよかったと思う」。(郷ひろみオフィシャルInstagramより)
郷ひろみ(ごう・ひろみ)1955年、福岡県生まれ。1972年NHK大河ドラマ『新・平家物語』で芸能界デビューし、同年「男の子女の子」で歌手デビュー。数々のヒット曲を世に送り出し、発表したシングルは109枚。伝説の音楽番組の出演映像をまとめたDVD『郷ひろみ IN 夜のヒットスタジオ』が発売中。特典ディスクには2023年全国ツアーの密着映像も収録。