カルチャー&ホビー

「DCブランド」が社会現象だった時代。ファッションは装うための手段から自己表現へ

2024.01.10

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今、世代を超えて世界が夢中 ときめく!昭和レトロの魅力 1926年から89年までと長く続いた昭和の時代。特に70年代、80年代のカルチャーが、1997年から2012年に生まれたZ世代には、今、魅力的に映っているといわれます。特集前半ではノスタルジーとポップさが渾然一体となった昭和レトロの作品やアイテムを、後半ではシティポップの魅力をたっぷりお届けします。前回の記事はこちら>>

DCブランドが社会現象だった時代
── 田島由利子(ファッションジャーナリスト)

1974年、「ビギ」の菊池武夫、「ニコル」の松田光弘はじめ若手トップデザイナー6名が後の東京コレクションへとつながるファッションウィークをスタートさせました。チケットをそれぞれのブティックで販売し、一般の顧客も参加することができるというスタイルも画期的な取り組みでした。

デザイナーズブランド&キャラクターブランドの略称である「DCブランド」ブームは、このように顧客=ファンが、今でいう“推し”のデザイナーやブランドを応援することで社会現象にまでなった参加型のムーブメントだったと思います。

ハウスマヌカンと呼ばれた販売員は憧れのブランドとファンをつなぐ存在であり、パルコや丸井の台頭で全国にブティックが展開されたことも追い風となりました。


そして「ジャストビギ」「ニコルクラブ」や「ビバユー」など若者向けのブランドが派生することで、幅広い年齢層がDCブランドの波に取り込まれていきました。

80年代、ブランドに夢中な全国のファンたちの熱狂的なパワーは、ファッションを単に装うための手段から、自己表現であり文化にまで昇華させたのです。(談)

田島由利子

1958年、東京都生まれ。ファッション情報会社勤務を経て、フリーのジャーナリストとして独立。1985年からコレクション取材、ファッション専門誌の執筆、編集を行う。著書に『20世紀日本のファッション』『ヴィンテージファッション』など。

大胆な色と柄にパワーを感じる「ラブレア」のスカーフ。衣装協力/田島由利子

「ピンクハウス」のロマンティックな世界観は圧倒的な人気を博した。

「ヨウジヤマモト」は東京からパリに進出、その実力を知らしめた。衣装協力/田島由利子

70年代より若者に爆発的な人気を得て、DCブランドブームを牽引した「ビギ」のドレス。衣装協力/田島由利子

上・シンプルながら華を感じる「ハーフムーン」のプルオーバー。 下・「ディグレース」のエプロンはクリスマス仕様。季節限定という贅沢さを感じる一枚。衣装協力/田島由利子

立ち襟や刺繡、タッセル使いなどオリエンタルな雰囲気が漂う「マダム ニコル」のアンサンブル。衣装協力/松田啓子

80年代の『家庭画報』でも、DCブランドを取材。右・1984年8月号ではのちに「TSUMORI CHISATO」を立ち上げる津森千里さんを注目の若手デザイナーとして紹介。左・1983年2月号では、冬のワードローブ特集で「イッセイミヤケ」のマントを撮影している。


(次回へ続く。)

特集「「ときめく!昭和レトロの魅力」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年01月号

家庭画報 2024年01月号

撮影/本誌・伏見早織 取材・文/清水井朋子

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