〔特集〕開運招福社寺と伝説を巡る 龍神絶景を行く 開運・招福につながる、龍ゆかりの寺社や聖地巡りが今ブームです。中国由来の霊獣、“龍”とは、日本人にとって、一体何なのか。龍神パワーが獲得できる“龍脈”や“龍穴”はどこにあるのか。そもそも日本の龍神信仰とは何なのか。2024年の干支、辰(龍)にゆかりの聖地を訪ね、謎多き日本の“龍文化”の実像とその不思議を紐解き、併せて2024年の開運を祈願します。
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龍神ミステリー(2)
“床龍神”の正体とは......? 松尾観音寺(三重県伊勢市)
約220年前、江戸時代末期に建て替えられた総欅造りの本堂。中央にはご本尊の「十一面観音菩薩(坐像)」が鎮座する。
712年、伊勢参宮の道中でこの地を訪れた行基が開いたという日本最古の厄除け観音で知られる「龍池山 松尾観音寺」。寺の裏にある2つの池は、古来夫婦の龍が棲むという信仰の地でした。約600年前に寺が火災に遭った際、雄龍が観音様に巻き付き、雌龍が池の水を吹きかけて火を消し守ったという伝説も残っています。
住職の木造さん。雌龍が棲むと伝わる寺に近い方の池の前で。約7ヘクタールにも及ぶ広大な池で、農業用水としても重宝されている。
そんな松尾観音寺で17年前、本堂の床を張り替えたところ、だんだんと一部分の色が濃く変化。訪れる人々が「まるで龍のように見える」と言い始め、そのうち“床龍神”と呼ばれるようになりました。
もとからあった節が目と鼻になり、色の濃くなった部分が胴となって上に伸び、まるで龍のように。なでると幸せになるといわれ、多くの参拝客がこれを探しにやってくる。
本堂の中、頭上に彫られた龍。「赤い部分は火だと思います。体を折り曲げて観音様を火災から守っている場面ではないでしょうか」と木造さん。
「本堂の観音様の頭上に雄龍を模したと思われる龍の彫刻があります。『もう一尾はどこですか?』とよく聞かれていましたが、まさにその雌龍がこうして床に現れてくれたんだと思います」と住職の木造(こつくり)隆誠さんは語ります。今もなお夫婦の龍が寺と地域の人々を守っているようです。
龍の絵馬(1000円)。「観音様が災いから救い、龍神様が運を招いてくださいます。お伊勢参りの帰りに、開運招福を祈願しにお越しください」。
松尾観音寺住所:三重県伊勢市楠部町156-6
TEL:0596(22)2722
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