〔特集〕挑戦し続ける名宿 最上級の温泉宿 コロナ禍という試練を経て、日本の名宿が、原点を見つめ直し、新しい時代の新しい高級旅館の有り様を提示しつつあります。守りに入らず攻め続ける、名宿の覚悟と挑戦から、今後のラグジュアリー温泉宿の潮流を探ります。
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ポストコロナ以降の高級(ラグジュアリー)温泉宿の新潮流を知る
山口・長門湯本温泉「大谷山荘」の「こもれびの湯」は、山の緑、川のせせらぎが感じられる。
時代とともに高級温泉宿に求められるものは変遷していきます。何を変えればさらによくなるのか──「名宿」と呼ばれる温泉旅館は、常にそのことを考えています。
コロナ禍に休まざるを得なかった時期に、「自分の宿とは何なのか」、「これからどうあるべきなのか」といったことを、真剣に考え、そしてその結果が、今、具体的な形となって反映されつつあります。
名宿の挑戦から、時代のキーワードと新潮流を探ります。
客室大型化 ~よりゆったり~
世界基準のラグジュアリーホテルのホスピタリティを求めれば、日本の高級温泉宿の最上位の客室は、大型化に向かいます。部屋数を減らし、よりきめ細かで、より行き届いたもてなしを提供しようとする傾向にあります。
オーベルジュ型 ~美食主導から参入~
宿に求められる基本3要素(食、風呂、寝)のうち、食への関心が最も高まっているといわれます。美食レストランが主導する、温泉付きのオーベルジュが登場し、世界が注目する日本のディスティネーションスポットになっています。
プライベートサウナ ~もはや時代のニーズ~
ここ数年のサウナブームを受けて、最上位の客室に本格的なプライベートサウナを設ける旅館が増えています。健康・美容志向の観点から、女性人気が急上昇していることが背景に。客室から外に出ることなく心ゆくまで整うことができます。
親孝行温泉 ~高齢者・介護にも対応~
高齢化が進む我が国にあって、高齢の親世代を安心して温泉に連れていきたいというニーズが確実に高まっています。和風の温泉宿こそ、そこに意識を向けることが欠かせない時代に。親世代との旅を楽しめる、細やかな配慮は、必須条件になっています。
ランドスケープ型 ~地の利を生かす~
その土地ならではの風土や絶景といったポテンシャルを最大限に生かし、また、建物自体も風景の一部となるランドスケープ型の温泉宿が増えています。世界で活躍する建築家やデザイナーを起用し、国内外の衆目を集めています。
(次回より、挑戦を続ける名宿をお届けします。
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