クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第165回 ヴェルディ オペラ『アイーダ』
イラスト/なめきみほ
サッカーファンなら絶対に聴くべき名作オペラ
今日2月12日は、オペラ演出家・映画監督フランコ・ゼッフィレッリ(1923~2019)の誕生日です。
イタリアのフィレンツェに生まれたゼッフィレッリは、1953年にミラノ・スカラ座のオペラ『チェネレントラ』で演出家デビュー。リアリズムを追求し、音楽とドラマを視覚的な美しさで見せる演出は豪華絢爛。映画監督としても『ロミオとジュリエット』や『永遠のマリア・カラス』など、記憶に残る名作を残しています。
このゼッフィレッリが日本で手がけたオペラが、1998年の新国立劇場開場記念公演『アイーダ』でした。ヴェルディ後期の大作『アイーダ』は、スエズ運河開通を記念して建設されたカイロ歌劇場で初演され、1か月後のスカラ座公演ではアンコールが 40回も続いた名作です。
ファラオの時代のエジプトを舞台に、荘厳な音楽に象や馬まで登場する凱旋行進など見どころ聴きどころ満載のこの作品は、イタリアのサッカーチーム「パルマFC」が勇壮な『凱旋行進曲』を応援に使っていることでも有名です。
田中 泰/Yasushi Tanaka一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。