藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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1月の花「ムスカリ」
春待ちの気持ちを花にのせてラウンドボックスに詰めました。ピンクの花の中にムスカリとニゲラの青を加えると、こんなにエレガントな雰囲気に。ピンクの花はラナンキュラス‘ポンポン ハーマイオニー’とバラ‘ストロベリーモンローウォーク’。スペアミントを加えてフレッシュに仕上げました。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo 青い花の中でも特別存在感のあるムスカリの青
美しい青が魅力の花は数多くありますが、なかでもムスカリの青にはどこか特別感があると感じています。ムスカリの基本種であるアルメニアカムの花色は、瑠璃色、群青色、コバルトブルー……どの色名に近いのか迷うところですが、この時期のほかの青い花を集めた中に交ぜたとしても特別に目立ち、花が小さくても存在感があるのが不思議です。
だから、ムスカリが出回り始めると、その青を使いたくてしょうがなく、必ず店に置くようにしています。庭でムスカリが咲き出すのは3月上旬くらいからですが、切り花では少し早く、ちょうど今の時期から本格的に出荷が始まります。
バルブ付きのムスカリ・アルメニアカム。草丈は15cmくらいで、とてもかわいらしい!バルブ付きだと移動の間の水下がりも軽減され、花がフレッシュな状態で届きます。
ブドウの房を逆さにしたような形状から「グレープヒヤシンス」という別名でも呼ばれるムスカリ。基本種のアルメニアカムは葉が細く長さもあります。それに対し、葉が短くて幅広いのがラティフォリウムで、どちらも切り花でよく出回ります。国産のものはバルブ(球根)がついた状態で出荷されることも多く、私も好んでバルブ付きを取り寄せます。バルブの中に水分と養分が蓄えられているので、生産者さんから花屋まで、そして花屋からお客さまの元への移動の間も水下がりが軽減され、安心して贈り花に利用できます。
バルブ付きのムスカリが入荷すると本当にかわいらしくて、いつもより多く写真を撮影することもしばしば。ときには、バルブをつけたままアレンジに利用することもあります。
最近では園芸品種の種類が増え、淡い水色や白、ピンクなどの花色も切り花で出回るようになっています。ブドウのような個性的な房形、また、あの小さなサイズはほかの花にはないムスカリの魅力。青以外の花色でもその房形が贈り花の素敵なアクセントになってくれます。
ムスカリを使ったブーケ&アレンジメント
ムスカリ・ラティフォリウムもバルブ付きで。アルメニアカムに比べると葉が幅広なのが特徴です。
ムスカリ・ラティフォリウムとシレネ‘小布施の郷’。シンプルな組み合わせをしゃれたラウンドボックスに詰めてお祝いの贈り花を宮崎へ。野原で咲いているようなナチュラルな雰囲気にしてみました。お客さまが用意したシャンパンも別梱包にして一緒に送りました。