「私たち」という表現になぜそれほどの力があるのでしょう。前野先生 連帯感やチームとしての一体感を生むのです。「私たち」と口にしたり聞いたりすることで自ずと視野が広がり、“あなたか私か”の個別の問題ではなく両方の問題としてとらえられるようになる。たとえば某企業の経営者が「こんな成績じゃ悔しい。俺たちはもっとできる!」と社員の奮起を促したり、オバマ元米大統領が“Yes,we can.”と国民を鼓舞したのも同じような効果だといえます。一方的に「お前たち、がんばれ」といわれるより、俄然やる気になりますね。
マドカさん 特に相手にとって耳の痛いことを伝えるときは、タイミングを見極めることも重要です。何かに集中していたり、疲れていて聞く態勢ではないときに話しかけても聞き流されるか逆切れされるだけ。私は、お互いに忙しくて両方に余裕のある時間を見つけられないときは用件を付箋に書いて目につくところに貼っておきます。読み返して表現がきついなと感じたら書き直せるし、忘れられてしまうストレスも減ります。
前野先生 たしかに小言の類は言葉で聞くより文字を読むほうが怒りを感じにくくてアンガーマネジメントにもなる。
マドカさん さらに普段からちょっとしたことでも会話をする習慣を作っておくと、いざ重要な相談があるときにも話し合いのステージに上がりやすくなります。