藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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2月の花「フラワーバレンタイン」
スパイダー咲きのガーベラ‘イギー’やラナンキュラス‘みつり’、チューリップ‘ラ ベルエポック’など、比較的ニューフェイスの花をふんだんに利用したブーケ。ご主人からの奥様へ、フラワーバレンタインの贈り花です。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo 春の花が出揃うこの時期に、贈り花の絶好のチャンス到来
2月14日はバレンタイン。日本では女性から男性へ、愛する気持ちや感謝の気持ちをチョコレートにのせて贈る習慣として定着していますが、海外では大切な人に花を贈る日として認識されています。それを日本でも広めようと2011年から「花の国日本協議会」が推進しているのが「フラワーバレンタイン」です。
現在では「フラワーバレンタイン」を知る方も多くなり、この時期には多くの贈り花のオーダーをいただくようになりました。初めのころは、仲良しのお友達へ、娘から母へなど、女性から女性への贈り花がメインでしたが、最近ではご主人から奥様へ、職場の女性に感謝の気持ちを込めてなど、男性から女性へ花を贈るケースも増えています。
静岡県牧之原市のガーベラ専門農家「アドアーフローカ」さんから届いたスパイダー咲きの‘イギー’は、細い花弁が跳ねるようでとても動きのある表情。平らな花形が定番のガーベラの中で、立体感のある個性的な品種です。ちなみに「フローカ」は漢字にすると扶郎花、ガーベラの和名です。
じつはいまは春の花がもっとも充実して出回る時期です。チューリップ、ラナンキュラス、アネモネなど球根の花や、色とりどりのスイートピーやかわいらしいスカビオサ、新たな花形が魅力のガーベラなど、贈り花におすすめしたい花が山ほどあります。
誕生日が夏で、かわいらしくて魅力的な春の花をもらえる春生まれの人が羨ましいと嘆く友人がいて、なるほどなーと感じたことがあります。誕生日や結婚記念日の贈り花は、毎年花色やスタイルを変えてもどうしても同じ季節の花になりがちなので、もし記念日が春以外の方は、ぜひ「フラワーバレンタイン」を利用してみてください。いつもの記念日とはまったく印象の異なる春の花のギフトは新鮮な印象で、おおいに喜ばれると思います。
まだ「フラワーバレンタイン」を知らない男性も多くいるので、奥様からご主人へ情報を伝え、お気に入りの春の花をおねだりしてみてはいかがでしょう。
フラワーバレンタインにおすすめのブーケ&アレンジメント
フラワーバレンタインに、とオーダーを受け、チューリップ‘ラ ベルエポック’やスカビオサ‘マシュマロスクープ’、スイートピー‘シルキータッチ’、バラ‘旬’などの中にブルーのニゲラ‘ミスジーキル’を加えたエレガントなブーケを制作しました。フリルのあるリーフはチョコレートゼラニウムです。
アプリコットブラウンの八重咲きチューリップ‘ラ ベルエポック’を初めて見たときの衝撃は今でも忘れられません。「こんな美しい花が存在するのか」と……。花名は芸術が花開いたパリの古き良き時代という意味です。
春の花の中でもとくに香りのよいのがフリージア。石川県の「エアリーフローラ」さんが生み出した‘エアリー’シリーズは、花が大きくて存在感があり、花色のバリエーションも豊富でお気に入りの花の一つです。そのシリーズから‘エアリーイエロー’を使い、ニゲラの水色と対比させたアレンジです。お世話になっている東京のご夫婦へ、フラワーバレンタインにさわやかな香りと春色のギフトを。