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センスの良いバレンタインギフト。大人の女性へ贈りたい「国産柚子のチョコレート」

2024.02.07

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エッセイ連載「和菓子とわたし」

「和菓子とわたし」をテーマに家庭画報ゆかりの方々による書き下ろしのエッセイ企画を連載中。今回は『家庭画報』2024年3月号に掲載された第32回、観世清和さんによるエッセイをお楽しみください。

vol. 32 和菓子と楽屋
観世清和

室町時代 流祖 観阿弥 世阿弥親子が大成した能。時を同じくして開花した「お茶」「お花」。私は能を加えて「室町三兄弟」と呼んでいる。


お菓子は、お茶を頂く折には、なくてはならない存在。まだ私が子供の頃、能舞台楽屋の景色は、現在とは少し違った。能舞台へ赴き、楽屋へ入る。もちろん楽屋は畳敷きの和室である。床の間には掛け軸とお花が生けてある。ほどなくして、お抹茶とお菓子を頂戴し、気持ちを切替え、舞台の支度に取り掛かる。ご褒美の様なお菓子を父と一緒に味わい非日常の世界へ向かう。

父は甘い物好きで、古来より楽屋は本陣、舞台は戦場と言う例えがある楽屋では笑顔一つ見せない人だったが、その時だけは、口元が緩む柔和な姿が今でも鮮明に蘇る。

お菓子は四季を感じさせ、人の心を和ませ、満たしてくれる。

夏ならば竹筒に入った「羊羹」、秋には「栗きんとん」などと季節の訪れを告げると共に、心に充足感を与える。能の演目も四季折々、季節毎に決まっている。

能は一期一会。またお菓子も一期一会である。とは言うものの、父と同じく甘い物が好きな私は、年中楽しめる「こしあん」の詰まった「あんぱん」や「お饅頭」をエネルギーに変えている。

時は流れ、いつでもどこでも最新の情報がすぐ簡単に手に入る情報過多社会。人々が感じ取る時間は、想像もつかない程急激で、皆忙しくファーストフードを優先している。かく言う私もその一人と言える。

時間に追われ、多忙な日々をこなしている。いや、こなしていると言うよりも「現実から」目を背けているのかも知れない。妻は、それを感じているのか、私や息子 三郎太がシテ(能の主役)を演じる時には、良い舞台を作って欲しいとの思いを込め、季節の和菓子を用意してくれる。その心遣いに感謝し乍ら、舞台へと向かう。

時代は変化しつつも、伝統文化「能」を我が国の食文化「和菓子」というスローフードが支えている。「寿福増長」「一座建立」。世阿弥のこの言葉を胸に秘め舞台に出る。

観世清和
26世観世宗家。文化功労者。日本芸術院会員。室町時代に能を大成させた観阿弥、2世・世阿弥、3世・音阿弥の子孫。国内外での公演、復曲・新作能にも意欲的に取り組み、現在の能楽界を牽引する。芸術選奨文部大臣新人賞、フランス芸術文化勲章シュバリエ、芸術選奨文部科学大臣賞、第33回伝統文化ポーラ賞大賞、紫綬褒章、日本芸術院賞など受賞(受章)。重要無形文化財総合認定保持者。

宗家 源 吉兆庵
TEL 0120-277-327
https://www.kitchoan.co.jp/
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