能登野菜&甘麴/稲葉清弘さん
研究好き農家の多彩な試み
川嶋さんが、お米をはじめ野菜の栽培において全幅の信頼を寄せているのが、中能登町に拠点を置く農業法人「能登やまびこ」の理事を務める稲葉清弘さんです。
稲葉さん(中央)、川嶋さん(右)と一緒に里いも掘りを体験。
能登やまびこは栽培環境に配慮した農作物を手がけていますが、とりわけ、お米は2008年の設立時からエコ栽培に取り組んでいます。
かぶらずしの仕込みを稲葉さんとともに。
訪れたときは川嶋さんに依頼された“新しい方法のかぶらずし”作りの真っ最中でした。大きなかぶの輪切りに切り目を入れ、自宅で培養している甘麴で漬け込みます。
かぶらずしに使う「百万石青首かぶ」はかなり大ぶり。「葉がナポリの野菜フリアリエッリに似た味」とアントニオさん。
本来は塩漬けにしたかぶに酢漬けをしたぶりを挟み、甘麴で本漬けしますが、新鮮なぶり本来の肉質と風味を生かすため、先にかぶの麴漬けを作り、川嶋さんが仕込んだぶりの酢漬けを後で合わせるという手の込んだものです。
稲葉さんの甘麴。
アントニオさんは稲葉さん自家製の甘麴を味わって目を見張り、「自然な甘さと優しい香りが素晴らしい」と感動。デザートにも使いたいとインスピレーションが次々に湧いたようです。
稲葉さんのお宅で振る舞われた能登野菜と自家製味噌、麴漬けの焼き魚の食事。金糸瓜、能登むすめ(紫色の皮の大根)など多彩な野菜が目にも楽しい。
農業法人 能登やまびこhttps://noto-yamabiko.com/
いしり/魚醬専門店 いしり堂
魚醬のさらなる可能性を研究
食を通した七尾の街づくりという川嶋さんの思いに共感し、「いしり」の製造といしり料理の食事処を営む森山明能さん。
いしりは熟成を重ねると深みが増し、まろやかになると語る森山さん。
いしりとは、能登の魚醬のことで、イカやイワシを使うところ、森山さんはメギスを使います。
かまぼこなどの原料として身を取り除いたメギスに塩を加え、自然発酵させるのが伝統的な製法ですが、塩分が強くなるため、温度管理をして発酵を調節、発酵を止めてからこして塩を加えるという製法を開発。
塩の量が抑えられるうえ、メギスかすは肥料として利用できるといいます。廃棄ゼロのいしりで環境に優しい循環が生まれています。
新製法のいしり。使いやすいように醬油の塩分比率に合わせて製造している。