連載「雨のことば」3月 菜種梅雨(なたねづゆ)
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士) 菜の花が咲く頃に、しとしとと降る雨が梅雨のように続くこと。
春と夏の間に梅雨前線が発生するように、冬と春の空気がせめぎ合うこの時期に停滞前線が発生し天気がぐずつきますが、花を催す雨として催花雨とも呼ばれていました。雨と季節を結びつけて表現する言葉で素敵ですね。
江戸時代の俳人、与謝蕪村の僕の好きな句に「菜の花や月は東に日は西に」というものがあります。一面の黄色い菜の花畑に浮かぶ月と夜の紺色、そして夕日の赤の対比が素晴らしい名句ですね。
ちょっと拝借して一句……「菜種梅雨春は南に冬北に」もしくは「菜の花や茎はおひたしからしあえ」なんてのもいいですねえ。春が待ち遠しいです。
この時季の雨のことば催花雨(さいかう)
菜花雨(さいかう)
育花雨(いくかう)
養花雨(ようかう)
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