〔特集〕第58回全国漆器展の受賞作品から 漆器に宿る匠の技 2023年秋に開催された第58回全国漆器展。美術工芸品部門、産業工芸品部門で2作品が家庭画報賞を受賞しました。その他の受賞作品も含め、今回は「日本の漆芸技法」に着目し、高度な匠の技が発揮された美しい漆器の魅力に迫ります。
令和6年1月の能登半島地震により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
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「家庭画報賞」受賞作とその魅力
2023年新設された「家庭画報賞」は、テーブルの上で多彩に使えるものを、という視点から選ばれました。使いこなし術とあわせて、その魅力をご紹介します。
家庭画報賞 産業工芸品部門
「笹ノ葉 銘々皿」岩上平蔵(越前漆器)
シンプルながら造形が美しい銘々皿は、越前漆器。テーブルの中心に集めて置いてみると、まるで5弁の花びらのよう。金平糖やフルーツを、それぞれに絵を描くようにすっきり入れると美しくて楽しく、思わず手が伸びる。
銘々でも、大勢でも、シーンに合わせて自在に使える
30センチ近い長さがある皿は、「笹ノ葉」と名づけられています。
「切れ端の板を2枚、張りつけてみたら葉っぱになった」と岩上平蔵さん。それがヒントとなって、両端をすーっと細くした洒落た形が誕生したといいます。
蒔絵など装飾を施して目立たせることも考えたものの、あえてシンプルに徹しました。「のせるものを支える器を作りたかった」といいます。
朱漆を塗った上に黒漆を塗って、縁だけを研ぎ出して艶のない透き漆をかけています。朱漆と縁に貼った布着せの布目が浮き出て、柔らかい雰囲気を添えています。
器に入れた花を並べるだけではインパクトがないが、笹ノ葉皿を敷くことで、センターピースのように可憐になる。
銘々皿として料理を盛るだけでなく、折敷感覚での使い方もでき、さまざまなシーンで活躍。使い手に寄り添ってくれる器といえます。
岩上さんは26歳。農学部を出ましたが、職人に憧れて漆の世界へ入ったのだとか。切れ端をいじりながら形を見逃さない目や発想力で、みずみずしい漆器を作っていってほしいと願います。
料理を盛って銘々皿として使う場合は、直接器に盛りつけるものと、グラスや磁器に入れたものを組み合わせるとまとめやすい。
笹ノ葉 銘々皿岩上平蔵(越前漆器)
28.5×11.5×高さ2センチ 3万3000円(2枚1組)
住所:福井県鯖江市西袋町214
TEL:0778(65)0509(土直漆器)
数量限定で家庭画報ショッピングサロンで販売中。
https://shop.sekaibunka.com(次回に続く。
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