起きている間中働き続け、さまざまなダメージにさらされている「目」。毎日の生活にスマホが手放せなくなってからは、その負荷は増すばかりです。“クリアな視界”のために知っておきたい事を専門医に聞きました。
※この記事は、発売中の『からだにいいこと』2024年4月号より一部抜粋・再編集しています。
防御と回復を繰り返せば視界は再びクリアに
教えてくれたのは…綾木雅彦先生
綾木雅彦先生
眼科専門医。おおたけ眼科院長。慶應義塾大学眼科学教室の研究者として最新の知見を深めつつ、クリニックにて地域医療に貢献。著書に『視力防衛生活』(サンマーク出版)他。
仕事に家事、娯楽――。起きている間は働き通しの目には、知らないうちにダメージが蓄積してしまうものです。
「特に、スマホが目に与える影響は甚大。一時的な疲れ目・かすみ目だけでなく、休んでも回復しない眼精疲労や、視力の問題にも直結します」と話すのは、眼科医の綾木雅彦先生。
日本人の老眼は、コロナ禍で増加したという統計も。その多くが、画面を見続けることで目の筋肉がこり固まり、ピント調整機能が落ちた「スマホ老眼」だとか。このほか、筋肉の疲労やドライアイなどのせいで手元がかすむ、いわば「プレ老眼」状態の人も増えているといいます。
トラブルを解決し、澄んだ視界を取り戻すには、正しいケアが不可欠。
「リスクから目を守りつつ、ダメージを適切に回復すれば、何歳からでも目は良くなります。しかも単純な視力ではなく、普段の視界に近い『実用視力』が回復するのです」(綾木先生)。
毎日の生活の習慣が、さまざまな目の不調の一因に
目が“近く”に適応→→→近視を引き起こす目は、環境に順応しやすい器官。ずっと手元を見続けると、「近くを見ること」に適した状態に変化します。これが近視の原因で、大人であっても注意が必要です。
まばたきの回数減→→→ドライアイの原因にスマホなどの画面をじっと見ていると、まばたきの回数が減少。涙の分泌が減って目の表面が乾き、ドライアイに。疲れやかすみのほか、痛みにつながることも。
姿勢の悪さ→→→眼精疲労につながる猫背だと首や肩の神経・筋肉に負担がかかります。それが目のまわりの神経に伝わり、疲れ目のもとに。疲れ目を放置すると、疲れが取れない「眼精疲労」に直結。
ドライアイ→→→老眼を悪化させる近年の研究で、ドライアイの女性は老眼になりやすいことが明らかに。すでに老眼の人がドライアイになると、ピント調整機能はますます落ち、進行が加速します。
さらに──
スマホ画面から出るブルーライトは、睡眠ホルモンの分泌を妨げます。夜、布団の中でスマホを触ると画面が近づき、目に入るブルーライトが激増し、うつや不眠の一因になるとも考えられています。
クリアな視界のカギ「実用視力」とは
一般的な“視力検査”の結果と普段の“見え方”は、やや異なることをご存じですか。
視力検査で測る→→→瞬間視力眼科で測るのは、Cマーク(ランドルト環)の切れ目を瞬間的に見分けられるかどうか。いわば視力の“最大値”です。
日常生活で必須→→→実用視力普段の見え方に近いのが「実用視力」で、視界をクリアにするにはこちらの改善が必須。一般の検査では測定していません。
実用視力を上げて目を元気にするために意識したい3つのポイント
1.目の表面の乾燥
目の表面は乾くと光がうまく屈折しなくなり、見えづらさに繋がります。
2.目元のコリ
目の筋肉が疲れてこり固まると、疲れ目や眼精疲労を招くうえ、ピント調整機能も低下して「スマホ老眼」の状態に。
3.全身の血流
全身の血流が改善すると、酸素や栄養が眼球にも行きわたり、疲れと同時に見え方まで回復することが。
※発売中の『からだにいいこと4月号』では、これらの具体的な方法を詳しくご紹介しています。
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『からだにいいこと』2024年4月号
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