最近の補聴器はデザイン性にすぐれ、機能も充実──。聞こえに人一倍関心をお持ちのフリーアナウンサー・吉川美代子さんが、「聴力を保ち、いつまでも人生を謳歌したい」と、補聴器専門店・マキチエの平松知義社長に補聴器の上手な選び方・使い方を伺います。
コミュニケーションにも身の安全にも重要な聴力
コミュニケーションにも身の安全にも重要な聴力。
吉川美代子さん(以下、吉川) 私は50歳の時に突発性難聴になり、左耳の聞こえが悪くなった経験があります。当時は四六時中イライラして、よく聞こえないことによるストレスを痛感しました。
平松知義社長(以下、平松) それは大変でしたね。聴力が低下すると聞き逃しや聞き間違いが生じて会話を楽しめず、話すこと自体が苦痛になって人づきあいも疎遠になりがちです。後ろから来る車や自転車にぎりぎりまで気づけないので、転倒や事故のリスクも高まりますね。
吉川 何度も聞き返すと相手も簡単な言葉を使うので、深い話や込み入った相談事もできなくなります。とても寂しいことですし、脳の働きにも影響するのではと心配です。それに災害時の情報や避難指示はラジオやマイクから音声で届くことが多いので、身も守れない――。
平松 さらにクリアな音は食べ物の味や風景をより鮮やかに感じさせてくれます。聴覚は人間関係や身の安全を保ち、脳を活性化させて生活の質を高める極めて重要な機能――なのですが、難聴者の補聴器所有率はわずか15%
*ほど。難聴は徐々に進むので気づきにくく、購入しても使いこなせない人が少なくないのです。
*Source:Anovum-JapanTrak 2022吉川 私の父がそうでした。ぜひ補聴器の上手な選び方、使い方を知りたいです。
平松 肝心なのは“入り口”と“最初の3か月 ”です。聞き逃しが生じた、テレビの音量が大きくなったなど難聴を自覚したり、ご家族から指摘されたりしたら、早めに耳鼻咽喉科を受診してください。補聴器に詳しい補聴器相談医のいる医療
機関を選ぶとより安心です。
「よく聞こえることは、脳を刺激し、生活の質を高めます」──平松さん
「大切な人と会話で通じ合うためにも、聴力は積極的に補いたいですね」──吉川さん
右:平松知義さん 1945年創業の補聴器専門会社マキチエ代表取締役社長。「補聴器は医療機関主体で販売すべき」をモットーに、各地の耳鼻咽喉科医師と連携し信頼できる補聴器の販売・普及に取り組む。左:吉川美代子さん フリーアナウンサー、キャスター、京都産業大学客員教授。1977年TBS入社。TBSアナウンススクール校長も務め多くのアナウンサーを育てた。2014年定年退職。趣味はジャズを歌うこと。
ドクター・お客様・販売店の“三位一体”で聞こえを調整
吉川 いきなり販売店や通信販売で購入するのは避けたほうがよいのですね。
平松 はい。まず聞こえの悪さの原因が補聴器適応の加齢性難聴なのか、他の病気なのかを検査する必要があります。さ らに難聴の種類や聴力の程度を詳しく調べ、結果をもとに補聴器販売店がお客様の要望に応じた製品をご提案します。
「最近の補聴器は小型軽量化され、つけ心地も格段によくなりました」
吉川 “補聴器は医療機器”と認識することが大事ですね。私はジャズが趣味で、音楽仲間には「低音の響きが重要」「ハスキーボイスが好き」など音にこだわる方もいます。購入時にはそのような細かい話も聞いていただけますか。
平松 補聴器にも限界はありますが、性能はかなり進化していますし、メーカーや機種によって音の性質に微妙な差があります。専門の販売員とコミュニケーションをとりながら生活環境や好みに合う機能やデザインを選んでください。
吉川 吟味して購入した補聴器――宝の持ち腐れにだけはしたくありません。
平松 そのための準備期間が“最初の3か月”なのです。医療機関で定期的に聞こえ具合を検査し、販売店が使い心地を確かめながら細かな調整をしていきます。ドクター・お客様・販売店の“三位一体”で、よりよい聞こえを作り上げていくイメージですね。最近の補聴器は機能も進歩し、スマートフォンと連携したリマインダー機能や見守り機能も可能です。今後はたとえば旅先で観光情報を音声で知らせてくれるなどエンターテインメント性も持ちうると考えています。
吉川 それは楽しみです。もう“年だから聞こえないのはしかたがない”は禁句。聴力が低下したら積極的に補って人生を謳歌したいと思います。
「補聴器のイメージが変わりました。いろいろな種類を試してみたいです」
ここまで進化している! 補聴器の最新機能
主流は電池交換の不要な充電型。 スマートフォンとつなげて電話の音声や音楽を直接聞くことができ るほか、置き忘れた補聴器を捜すGPS機能、転倒を検知して家族に通知する見守り機能、指定の日時に用件を音声で知らせるリマイン ダーなど機能が充実。心拍数を測定・管理できるヘルスケア機能搭載の製品も登場しています。
補聴器購入からアフターケアまで
1・聞こえに不安を感じたらまずは耳鼻咽喉科を受診
全国に約5000名いる「補聴器相談医」認定医のいる医療機関で早めに受診を。検索はこちらから>>>
2・医療機関での聴力検査等で難聴の原因や程度を調べる
耳垢やメニエール病、聴神経腫瘍などの病気の有無、聞こえ方などを検査し、医師が補聴器の適応か否かを診断。
3・補聴器専門店に相談。補聴器の貸し出しも
診断結果をもとに、認定補聴器技能者など専門スタッフに補聴器選びを相談。貸し出し用機器で実際に試すことも可能。
4・購入後のアフターケアで聞こえの調節をサポート
使い始めの3か月間は定期的に耳鼻咽喉科を受診し、販売店で補聴器の点検を受けながら自分に合うように調整していく
お問い合わせ/マキチエ
フリーダイヤル 0120-666-283
URL:https://makichie.co.jp