【もう迷わない！ ジュエリー＆ウォッチ選び】第10回 「ショーメ」 ジュエリーや時計は「一生もの」。では私たちは、いつになったら「一生もの」と巡り合えるのでしょう？ 40代以降は、自ら「一生もの」に出会う旅に出る時期だと、スタイリストのおおさわ千春さんは言います。この連載では、毎月、おおさわさんと、家庭画報.com編集長の鈴木が人気のジュエラーを訪ね、今の、そしてこれからの人生を共に歩むジュエリー＆ウォッチを探します。
第10回は「ティアラのジュエラー」と称賛されるショーメ銀座本店へ。品格と輝きに満ちたコーディネートをたっぷりご覧いただきます。
前回の記事を読む＞＞愛と気品にあふれた「ショーメ」のジュエリーは、レイヤードすることでさらに個性が際立ちます
例年より早く、東京に春一番が吹いた日、スタイリストのおおさわさんと鈴木が訪れたのは「ショーメ 銀座本店」。春の気配に心を浮き立たせながら、一生もののジュエリー＆ウォッチ選びがスタートしました。
ショーメ 銀座本店。1階はジョゼフィーヌをはじめとしたコレクションが、２階にはブライダルコレクションが並びます。
おおさわ：ショーメというと、真っ先に頭に思い浮かぶのは皇后ジョゼフィーヌです。
鈴木：そうですね。ショーメは1780年の創業。1799年のフランス革命でナポレオン1世が第一執政となります。ショーメは、そのナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌの公式御用達ジュエラーでした。
おおさわ：以前、ヨーロッパの美術館で見たナポレオン1世の戴冠式の絵に描かれていた宝飾品はすべてショーメのものだった、ということですよね？ もっとちゃんと意識して見ておけばよかったです。
店員さんにアドバイスいただきながら、コーディネートする商品をセレクト。
「パリ・スタイル」とティアラを生み出した、ナポレオン1世と皇后ジョゼフィーヌ
鈴木：ジョゼフィーヌは当時のフランスのファッションアイコンだったんですよね。
おおさわ：フランス革命前のマリー・アントワネットは、髪を大きく盛って、胸もとを強調して、コルセットでぎゅっとウエストを絞ったとてもグラマラスなスタイルでした。ジョゼフィーヌはその反対、すごく自然体なファッションだったんです。
鈴木：体を締めつけないドレスに、ヘアスタイルもとてもナチュラル。心地よいエレガンスが薫るそのファッションは「パリ・スタイル」と呼ばれて、もてはやされました。
皇后ジョゼフィーヌ。
鈴木：その「パリ・スタイル」の象徴的なアイテムがティアラでした。女性がティアラを装うことは、なんとナポレオン1世の発案なんだそうです。
おおさわ：そうなんですか？ ショーメが「ティアラのジュエラー」と呼ばれるようになった大きなきっかけですね。
鈴木：ショーメは240年を超える歴史がありますが、なんと2000個以上ものティアラを製作してきたとか。ティアラを製作する前に、マイヨショールと呼ばれる仮型を作るんですが、歴史的なティアラのマイヨショールは、パリ本店の非公開の部屋にすべて飾られているそうです。
おおさわ：実はこのショーメ 銀座店のVIPルームにもいくつか飾られていますよね。
銀座店のVIPルームに飾られているマイヨショール。様々な意匠や形に見惚れてしまいます。
ティアラ製作で培われた技術が、現在のジュエリーコレクションに見事に反映されて
鈴木：ティアラ製作で培ってきた宝飾技術は、今現在もショーメのジュエリー作りにそのまま継承されているといいます。
おおさわ：受け継がれ、240年以上の時をかけて少しずつ進化しながら今がある、ということですね。
鈴木：まさにおっしゃるとおりです。今、ショーメのジュエリーコレクションには大きく3つのカテゴリーがあります。1つが「ジョゼフィーヌ」。王宮や宮殿、ティアラをモチーフとしています。次が絆をテーマにした「リアン」。そして3つ目が蜂とハニカムをモチーフにした「ビー マイ ラブ」や、ジョゼフィーヌの娘の名前でもある「オルタンシア」、つまり紫陽花を意匠化したコレクションに代表される自然主義を謳うカテゴリーです。ジョゼフィーヌは自然を愛し、マルメゾン城の庭を丹精したことでも知られています。
おおさわ：今回は“ショーメといえばジョゼフィーヌ”ということで、ジョゼフィーヌコレクションを軸にしたコーディネートをいろいろとご紹介できればと思っています。
鈴木：ジョゼフィーヌはティアラをモチーフにしていますよね。V字のフォルムとペアシェイプの石が多用されていて、とても個性的で存在感がある……。なかなかコーディネートが難しそうなイメージです。ぜひおおさわさんにご指南いただきたいです！
ジョゼフィーヌの時計に3本のブレスレット。ハードルの高さを重ねづけで緩和します
おおさわ：今日、真っ先に目に留まったのがジョゼフィーヌの新作時計です。フェイスがペアシェイプ型で、少し小ぶりでエレガント。ベルトで留めるのではなく、ストラップが柔らかく可動してすぽっと手首にはめられるところがポイントです。
鈴木：ステンレススチールのストラップ部分に繊細なファセットカットが施してあって、とてもきらきらと輝きますね。フェミニンだけれど、今日のおおさわさんのような少しカジュアルな装いにもぴったりです。
おおさわ：カジュアルな装いをしてきたのには意味があるんです。ジョゼフィーヌはティアラや王宮をイメージさせるので、気後れする人もいるかもしれません。これをどう自分になじませていくか。ジョゼフィーヌ以外のジュエリーとうまく重ねていくことで、それぞれの個性を際立たせながら、バランスをとろうという作戦です。
鈴木：なるほど。ではこの時計にどんどん重ねづけしていくわけですね。
おおさわ：そうです。ビー マイ ラブのピンクゴールドとホワイトゴールドのバングル、さらにリアンのブレスレットを手首に重ねましょう。
鈴木：ピンクゴールドとホワイトゴールドもミックスしちゃうんですね！
時計「ジョゼフィーヌ」エグレット ウォッチ（SS×ダイヤモンド）99万2200円 ブレスレット「ビー マイ ラブ」ハニカムブレスレット左（PG）80万3000円 右（WG×ダイヤモンド）170万5000円 ブレスレット「リアン」ジュ ドゥ リアン ブレスレット（PG×ダイヤモンド）49万9400円 リング「ジョゼフィーヌ」エグレット バンドー リング上（PG×ダイヤモンド）65万4500円 下（WG×ダイヤモンド）69万5200円
おおさわ：そうです、色も素材もミックスしていいんです。ショーメのジュエリーは1つひとつがとても優しくて品格があるから、重ねても喧嘩しません。むしろこれくらい重ねて遊び心を加えたほうが、自分のお洒落になじんでくるんです。
鈴木：リングはどうしますか？
おおさわ：リングはジョゼフィーヌのV字シェイプのバンドーリングを2本重ねます。ここにも一工夫。ぴったり重ねるのではなく、少し隙間をあけてつけてみます。
鈴木：あ、格好いいです！
おおさわ：このリングはV字を逆にしてつけても素敵です。たとえば1本はV字につけて、そこに1粒ダイヤモンドのソリテールを重ね、上に逆V字のリングを重ねるとか。
鈴木：ダイヤモンドを挟むんですね。これは思いつきませんでした！
おおさわ：こんなふうに、手持ちのジュエリーを使ってもいいので、いろいろ試してみることが大切。自由に楽しんで、たくさん重ねてみるのがジュエリーを楽しむコツなんです。
上で紹介したジュエリーを実際に身につけたおおさわさん。「清く正しく装うことも大切。でも自由な発想で、その日の装いや気分に合わせてアレンジを加えてみることが、大人ならではのジュエリーの楽しみ方です」
ネックレスの重ねづけ成功の秘訣は、長さや太さ、タイプの異なるものを選ぶこと
鈴木：私はジョゼフィーヌのロングペンダントがとても気になっているんです。ぱっと目を引く強さがあって、でも意外とカジュアルにも使えそう。すぽっと頭を通して身につけられるのもいいですよね。
おおさわ：これ1本のボリュームで満足してはいけません。これにあと2本、ネックレスを重ねていきましょう。
コーディネート談議がとまらない2人。心地よくくつろげるVIPルームにて。
おおさわ：ネックレスの重ねづけにはコツがあります。同じタイプのものを重ねないこと。細いネックレスを何本レイヤードしても、あまり素敵には見えないんです。太いものと細いもの、長いものと短いものなど、違うテンションを重ねてみてください。
鈴木：そうなんですね！
おおさわ：ロングペンダントは胸もとより低い位置に視線がいきます。その対極となる顔に一番近いところに、ビー マイ ラブのボリュームがあるチョーカータイプのネックレスをつけましょう。そしてその間をつなぐように、リアンのペンダントを重ねます。
鈴木：どうなることかと思いましたが、つけてみるととてもしっくりきます。
おおさわ：それぞれの輝き方が違うから、喧嘩にならないんです。顔まわりが一番輝いていますから、華やかさも演出できます。
鈴木：そしてリアン、さすが「絆」を意味するだけあっていい仕事しています！
太いもの、長いもの、細くて短いもの。様々なタイプをバランスよく重ねることがポイントです。
左から「ビー マイ ラブ」ネックレス（PG×ダイヤモンド）864万6000円 「リアン」ジュ ドゥ リアン ペンダント（PG×ダイヤモンド×マザーオブパール）23万6500円 「ジョゼフィーヌ」エグレット ロング ペンダント（PG×ダイヤモンド）415万8000円 エグレットリング（PG×ダイヤモンド）192万5000円
愛の物語に満ちあふれたジュエラー、ショーメ
鈴木：もう1つ、ご紹介したいものがあるんですけれど、リアンのアムールブレスレットってご存じですか？ 石の名前の頭文字をつなげて読むことで、言葉が現れてくるというものなんです。
おおさわ：銀座店の1階にもコーナーがありましたね。気になっていました。
「リアン」アクロスティッシュ ジュ ドゥ リアン アムール ブレスレット（PG×アクアマリン×モルガナイト×ピンクオパール×グリーンウバイト×ルビー）95万400円
鈴木：これはアクアマリン、モルガナイト、オパール、ウバイト、ルビーの頭文字「AMOUR」で愛を表しているんです。もちろん、好きな文字で作ることもできるそうですよ。
おおさわ：なんて素敵な……。コルセットを外してティアラをつけようと発案したナポレオン1世のジョゼフィーヌへの愛から始まって、ジョゼフィーヌが愛した自然や庭へのオマージュ、愛の絆を表したジュエリー、そして実際に宝石で愛を伝えてしまうなんて。
鈴木：ショーメは本当に愛にあふれたジュエラーなんだと、改めて好きになりました。
パールやカラーストーンも充実している、ジョゼフィーヌ コレクション
左から「ジョゼフィーヌ」エグレットリング（WG×ダイヤモンド×アコヤパール）81万9500円 エクラ フローラル リング（Pt×ダイヤモンド）297万円～
左から「ジョゼフィーヌ」エグレット ペンダント（WG×ダイヤモンド×ルベライト）81万6200円 ロンド デグレット ペンダント（WG×ダイヤモンド）68万6400円
【動画】“一生ものジュエリー”を探す旅へ ～ショーメ編～
ショーメ 銀座本店
東京都中央区銀座 3-5-7 松澤ビル
電話 03-5524-2722
営業時間
月～金曜 11時30分～19時30分
土・日曜 11時～19時30分
お問い合わせ／
ショーメ 電話03-5635-7057
※価格はすべて2024年2月20日時点のものとなります。
