クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第195回 メンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』
イラスト/なめきみほ
クラシック史上屈指の美しいメロディがここに
今日3月13日は、ドイツ・ロマン派を代表する作曲家、メンデルスゾーン(1809~47)の『ヴァイオリン協奏曲ホ短調』初演日です。(1845年)
“早熟の天才"メンデルスゾーンのすべての作品の中で、最も有名な『ヴァイオリン協奏曲 ホ短調』は、ベートーヴェン&ブラームスの作品と並ぶ“3大ヴァイオリン協奏曲"の誉れ高い名作にして、ドイツ・ロマン派の生んだ最も素晴らしい協奏曲として記憶される、記念碑的な作品です。
ブラームスが当時を代表する名ヴァイオリニスト、ヨーゼフ・ヨアヒムの協力を得たように、メンデルスゾーンは自らが常任指揮者を務めていたゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスター、フェルディナント・ダヴィッドの協力を得て書き上げた名作です。
これこそが、作曲家にとって演奏者が不可欠な存在であることの証明です。そしてなにより、冒頭の印象的なメロディは、一度聴いたら耳について離れません。まさに、クラシック史上屈指の美しいメロディといっても過言ではないでしょう。
田中 泰/Yasushi Tanaka一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。