クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第199回 ショパン『ピアノ協奏曲第2番』
イラスト/なめきみほ
ショパンの初恋から生まれた名旋律
今日3月17日は、ショパン(1810~49)の『ピアノ協奏曲第2番』の初演日です。
ショパンはその生涯に2曲のピアノ協奏曲を完成させています。そしてそのどちらも、20歳まで過ごした祖国ポーランド時代の作品です。出版の関係で番号が前後した『第1番』と同じく1830年に完成された『第2番』の初演は1830年3月17日。ワルシャワで開催された、“ショパンのウィーン訪問からの第1回帰朝演奏会”において、ショパン自身のピアノによって行われています。
作曲の動機については、ショパンの初恋の相手とされるワルシャワ音楽学校声楽科の生徒コンスタンティア・グワトコフスカへの思いによるものと考えられています。夢見るように美しい第2楽章は、若きショパンが残した最良のメロディの1つといえるでしょう。
ちなみに、ショパンの『ノクターン第20番“遺作”』は、姉のルドヴィカ・ショパンが『ピアノ協奏曲第2番』を練習するために作曲された曲だと伝えられます。
田中 泰/Yasushi Tanaka一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。