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ドビュッシーの名曲『月の光』を生んだのは、“呪われた詩人”のある詩だった!

2024.03.30

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第212回 ドビュッシー 歌曲『月の光』

イラスト/なめきみほ

イラスト/なめきみほ

“呪われた詩人”の魔性が生み出した名曲

今日3月30日は、フランスの詩人ヴェルレーヌ(1844~96)の誕生日です。

ドビュッシー(1862~1918)やフォーレ(1845~1924)など、同時代のフランスの作曲家たちを魅了し、彼らが歌曲を作曲する原動力となったヴェルレーヌ。その人生は、酒と女と神への祈りに、反逆と背徳、そして、そのすべてに対する悔恨をかかえた破滅的なものでした。

にもかかわらず、残された500編あまりの詩の美しさはまさに破格。「天才の一面は、あきらかに醜聞を起こし得る才能である」という芥川龍之介の言葉は、ヴェルレーヌのためにあるように思えてきます。


代表作として知られる詩集『艶なる宴』(1869年)の中の最初の詩「月の光」に魅了されたドビュッシーは、9年の時を隔てて作曲した2つの歌曲『月の光』の他に、あまりにも有名なピアノ曲『月の光』を残しています。

そして、フォーレが最初に手がけたヴェルレーヌ作品も『月の光』なのです。1つの詩からこれだけの優れた音楽が生まれたあたりにこそ、“呪われた詩人”ヴェルレーヌの魔性が潜んでいるようです。


田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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