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ウクライナ出身の稀代のピアニストが最後に弾いた名曲。グリーグが25歳で生み出した『ピアノ協奏曲』

2024.04.02

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第215回 グリーグ『ピアノ協奏曲』

イラスト/なめきみほ

イラスト/なめきみほ

稀代のヴィルトゥオーゾが最期に手がけた名曲

今日4月2日は、ウクライナ出身のピアニスト、シモン・バレル(1896~1951)の命日です。

オデッサのユダヤ人家庭に生まれたバレルは、サンクトペテルブルク音楽院で名匠ブルーメンフェルトに師事。国際的な活躍を続けた後にアメリカ合衆国を拠点とします。ニューヨークのカーネギーホールで毎年行っていたコンサートは大きな話題を呼び、彼のすばらしい演奏を聴くために、多くのピアニストがやって来ていたことも語り草です。

そのバレルの命日は1951年4月2日。カーネギーホールで、ユージン・オーマンディ指揮、フィラデルフィア管弦楽団との共演中に脳梗塞を起こして急逝したのですからショックです。


その時に演奏していた作品がグリーグ(1843~1907)のピアノ協奏曲でした。印象的なティンパニのクレッシェンドによって開始されるこの曲は、25歳の若きグリーグが手がけた名作です。1870年にグリーグからこの作品を見せられたリスト(1811~86)は、なんと初見で演奏。「これこそが北欧だ」と褒め称えた逸話が残されています。


田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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