クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第222回 トスティ 歌曲『セレナータ』
イラスト/なめきみほ
歌を学ぶ人が必ず出会う名旋律
今日4月9日は、イタリアの作曲家トスティ(1846~1916)の誕生日です。
ヴァイオリンの神童として知られたトスティは、12歳でナポリ音楽院に入学。作曲とヴァイオリンを学びます。その後体調を崩して20代前半で故郷オルトーナに戻り、オルガン演奏者・指揮者として活躍。この頃作曲していた歌曲が認められ、サロン用の歌曲を多数作るようになります。
イタリア王室の声楽教師を経て、1880年にイギリス王室の声楽教師となり、1906年にイギリスに帰化。「サー」の称号を得ます。創作の中心は歌曲にあり、ダヌンツィオの詩につけた作品などが有名です。
“旋律の天才”といわれたトスティの作品は、声楽家を目指す学生たちが必ず出会う音楽です。日本においてもそれは同様。奈良県には「日本トスティ協会」が存在するほか、この団体主催の「日本トスティ協会歌曲コンクール」も開催されています。
『セレナータ』『祈り』『マレキアーレ』などは、コンサートでも頻繁に歌われる人気曲です。
田中 泰/Yasushi Tanaka一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。