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2024年「春の桜スイーツ」。クリームチーズ餡が入った、和の桜タルト

2024.03.19

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エッセイ連載「和菓子とわたし」

「和菓子とわたし」をテーマに家庭画報ゆかりの方々による書き下ろしのエッセイ企画を連載中。今回は『家庭画報』2024年4月号に掲載された第33回、佐野史郎さんによるエッセイをお楽しみください。

vol. 33 不昧好み
佐野史郎

故郷、島根県松江では抹茶をよくいただく。かしこまった作法のこともあるが、実家ではポットからそのままお湯を茶碗に注ぎ、茶筅でたてるのが常だ。抹茶や和菓子は贈答品としても欠かせず、それこそお茶の間に溶け込んでいる。


松江藩10代藩主、松平治郷(はるさと)公は江戸時代を代表する茶人でもあり、号を不昧(ふまい)という。不昧公と親しまれ、松江の茶の文化は不昧により深まり、庶民にも広がっていったようだ。

お茶に欠かせぬ和菓子も豊かだ。江戸時代から続く老舗の和菓子屋さんが名を連ね、伝統の和菓子から季節を彩る新たな和スイーツまで、見ているだけでも楽しい。

実家に帰れば、まず一服。

添えられる和菓子は、子供の頃より親しんできた「若草」や「朝汐(あさしお)」「路芝(みちしば)」など素朴なものが好みだ。「若草」は不昧好みと伝わる、求肥(ぎゅうひ)に若草色のそぼろをまぶしたもの。

我が家が懇意にしている和菓子屋さんは明治23年創業で、歴史は他の店に比べると浅いが、大正時代に「若草」、これも不昧が好んだという干菓子「山川」を再現した功績は大きい。それらは他の店にも製法が伝えられ、松江を代表する菓子となった。

「朝汐」は薯蕷(じょうよ)饅頭といわれる、大和芋と米粉を混ぜのばした皮で餡を包んだ和菓子の定番。「路芝」も外せない。胡麻入りの求肥と餡を重ねて切り、ねじった、歯触りの良いお菓子である。いずれも見た目は素朴に感じられながら、手間のかけられた奥深い味だ。

私の実家は江戸末期に開業した町医者で、家業は弟が継ぎ5代目になるが、懇意の和菓子屋さんとは知る限り祖父の代からのおつきあい。同じお菓子を祖先や町の人たちが口にしていたことを想うと、歴史も身近に感じられる。

松江はどの和菓子屋さんも本当に美味しい。練り切り、小泉八雲も好んだという羊羹、不昧好みの落雁「菜種の里」。

和菓子を口にし、お茶を含めば、故郷、宍道湖の光景と風が蘇る。

佐野史郎
島根県松江市出身。高校卒業後に上京。劇団「シェイクスピア・シアター」の設立に参加、唐十郎主宰の「状況劇場」を経て、1986年に『夢みるように眠りたい』で映画主演デビュー。92年、ドラマ『ずっとあなたが好きだった』の桂田冬彦役で一躍脚光を浴びる。その後もドラマ、映画、演劇、小泉八雲の朗読、写真、音楽など幅広い分野で活躍する。

宗家 源 吉兆庵
TEL 0120-277-327
https://www.kitchoan.co.jp/
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