連載「雨のことば」4月 桜雨(さくらあめ)
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士)桜が咲く頃に降る雨のこと。
この時期は「花冷え」という言葉もあるように思いがけず気温が下がり、風や雨の日が多くなります。開花後の雨は「花散らし」とも呼ばれ、一年のうちで最も歓迎されない雨かもしれませんね。
こんなことがありました。僕の家の裏のお宅には立派な桜の木が植わっています。でも満開でも、うちからは全く見えず残念に思っていたところ……ある朝窓を開けると、庭一面に桜の花びらが降り積もった雪のように広がっていました。
夜の間に降った雨と風の方向が、たまたまうちに向いていたのです。それはまるで、一夜にして本当に桜の雨や雪が降ったかのようで、「桜雨」も良いものだなあと思いました。
花びらは雪のようには溶けず、掃除はちょっぴり大変でした。
この時季の雨のことば桜ながし(さくらながし)
春霖(しゅんりん)
華雨(かう)
花時の雨(はなどきのあめ)
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