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“みんな平等に”は疲弊のもと。「幸福度」を高めるための人間関係とは

2024.04.03

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更年期世代のお悩み解決 心が楽になる“幸せ習慣” 第4回 「今月も予定がぎっしり。自分の時間が全くとれない……」とため息をついている人はいませんか?広い交友関係を楽しめればよいのですが、忙しすぎて疲弊してしまっては幸せとはいえません。“超多忙で幸せ”な幸福学の専門家・前野隆司先生とマドカさんご夫妻に、人づきあいの極意を教わります。前回の記事はこちら>>

“人のために。みんな平等に”は疲弊のもと。自分への思いやりとメリハリを

「人づきあいがよすぎる私。頼られて何でも引き受け、疲れ果て」

前野隆司先生
前野隆司先生

まえの・たかし 日本の幸福学研究の先駆者。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。幸福学を世の中に役立つように応用し社会全体の幸せを目指す。

前野マドカさん
前野マドカさん

まえの・まどか 夫の隆司氏とともに幸福学を研究。幸せな社会を目指す会社「EVOL」を経営。幸せを広めるワークショップ、コンサルティング、研修活動、講演等を行う。

心が楽になる“幸せ習慣”

人間関係で疲れる人は利他ばかりで自利がおろそか

傍から見るとエネルギッシュで元気いっぱいの女性が、人知れずこのような悩みを抱えていたりします。

マドカさん 私の周りにも少なからずいます。社交的なので知り合いがどんどん増えて、面倒見がよいのでたくさんの役を引き受け、相談事にも親身に乗ってあげて、気がつけば手帳は予定でぎっしり。自分の時間はなくなり、心も体も疲弊してしまう。自分自身のウェルビーイング(心身ともに満たされたよりよい状態)がおろそかになっている状態なのだと思います。


前野先生 おそらくこの方は周囲を気遣って、常に「みんなが心地よく過ごすにはどうしたらいいか」を考えてばかりいるのでしょう。自分の負担が増える大変さより、多くの人と知り合い、みんなの役に立ちたいという思いが勝り、引き受けた以上は頑張る。ますます頼りにされる……。

マドカさん 一方で、負けず劣らず多忙なのに、いつお会いしても疲れた様子はなく生き生きとしている方がいます。彼女を見ていて思うのは物事への取り組み方や人間関係に自分なりのスタイルを持っていてそれを崩さないということ。だからといって自分勝手なわけでもなく、人望があって、何より本人がとても幸せそうなのです。

前野先生 その差は、他人への思いやり(利他。コンパッション)と自分への思いやり(自利。セルフコンパッション)をどれくらいバランスよく保っているかだといえます。両方が満たされている「自利利他円満」の状態が最も幸福度が高くて、利他が強すぎると自己犠牲に陥り、自利が強すぎるとわがままになる(下図)。このバランスを保つのがとても難しい。

“幸せ”は転がりやすい

幸福度が高いのは自分への思いやり(自利)と他者への思いやり(利他)のバランスがとれた状態(自利利他円満)ですが、山頂に置かれたボールのように一方に転がりやすいもの。疲弊したり人間関係がぎくしゃくし始めたらこの図を思い出し、バランスを確認してみましょう。
マドカさん 人づきあいに疲れて会合を楽しめなくなったら利他、人間関係がぎくしゃくし始めたら自利――どちらかに傾いているサインととらえて、自分自身を見つめ直すきっかけにしたいですね。

イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美

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