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- 「単衣はいつから?」の問題と、きもの選びの楽しみ〔阿川佐和子のきものチンプンカンプン〕
「母は父と結婚して以来、家でもずっときもので過ごしていました。割烹着を着て台所に立ち、朝は母の衣擦れの音で目が覚めたものです」──。そんなお母様の姿と重なるような割烹着姿を、今回は『きものsalon』(2024年春夏号)でご披露くださいました。
「ゴールデンウィークの頃に自宅でお客様をお迎えする日には、仰々しい印象に映らない濃い地の紬で。料理を振る舞い細やかに立ち働くシーンでは、単衣の軽やかさが快適です。ほぼ毎日、きもので暮らしていた母の箪笥に、単衣が多く残っていたことが頷けます」と阿川さん。
この日の撮影では、雨絣と十字絣をリズミカルに散らした藍地の単衣に、気取りのない琉球文様の半幅をコーディネート。教科書どおりの単衣暦の時季をフライングする際には、「半衿を塩瀬にするだけで、一見すると“袷”を着ているようにも見えます」と、従来通りのきもの暦を大切に思う美意識を細部で表現するそうです。
阿川佐和子(あがわ・さわこ)©Akinori Ito
作家・エッセイスト 1953年東京生まれ。大学卒業後、テレビ番組でのリポーターを機に、報道番組でのキャスターや司会を務める。映画やドラマに出演するなど女優としても活躍。『週刊文春』(文藝春秋)では対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を、『婦人公論』(中央公論新社)、『波』(新潮社)他では多くのエッセイを連載。テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』にレギュラー出演中。『話す力 心をつかむ44のヒント』(文春新書)他、著書多数。
撮影/森山雅智(人物) 西山 航(静物、本誌) ヘア&メイク/田中舞子(VANITÈS) 着付け/石山美津江 構成・取材/樺澤貴子