諦めないで──艶とボリュームは甦る「髪と頭皮のために、今できること」 第1回 家庭画報世代の髪の変化は「さまざまな要因が絡み合っている」と髪の専門家たちは口を揃えます。だからこそ重要なのは地道なケアです。“年齢のせい”と諦めず、できることをコツコツと。スキンケアと同様に、ヘアの分野でもエイジングの解明や技術革新が進み、有効なアプローチが増えてきました。注目の情報をたっぷりお届けします。
女性の髪悩みの原因は、さまざま複雑に関係しています。日々継続できるケアを、一つでも多く取り入れましょう
松倉クリニック代官山 院長
貴子先生日本形成外科学会認定専門医、美容皮膚科医。2012年より現職。豊富な美容知識と確かな技術、育毛治療にも定評があり、女性たちの信頼を集める。
ミルボン 開発本部 研究開発部 基礎研究G 統括マネージャー
伊藤 廉さん博士(理学)、博士(工学)。大学、国の研究機関で物理化学等の研究を経験し、2011年よりミルボンで髪と頭皮の研究に従事。新著『大人髪のトリセツ』が話題に。
髪の老化はお手入れ次第。予防も逆転もできる時代に
50代女性の髪悩みはハリ・コシの低下、抜け毛、うねりがトップを占めます。女性の場合、男性ホルモンの影響を強く受ける男性と比べて、その原因は複雑です。健康を維持する女性ホルモンの減少や抗酸化力の低下といった体の内部で起こる変化に加え、栄養不足、紫外線などによる頭皮の炎症、ヘアカラーやパーマのダメージ、ストレスなど多岐にわたります。
美容室専売メーカー「ミルボン」で研究を率いる伊藤 廉さんによれば「エイジング毛特有のうねりは、髪の大部分を占めるコルテックス(たんぱく質)のバランス変化が原因であることが近年わかりました。
うねり毛が増え始めるのは30代という調査結果もあり、髪の老化は自覚するより早く始まっているのです」。ほかにも脂質量の減少と水分保持力の低下によるパサつき、コルテックスやキューティクルの変化による弾力低下など、加齢とともに髪質は変化します。
その一方で、「50代でも、20代並みの美しい髪を保っている方もいて、実年齢と髪の美しさの関係は案外ばらつきが多い」のだそう。検証によって明らかになったのは、日々のヘアケアや美容室でのこまめなメンテナンスなどの“美容行動”が髪の印象を左右するという事実。
「小さな違和感を放置せず、一日でも早くエイジング対策を行うことで、美髪をキープできる可能性が高まります」。