連載「迷い世代の服選び」 スタイリストのおおさわ千春さんが、「何を着たらいいのかわからない」と悩みがちな“迷い世代”の大人に向けて、おすすめのファッションアイテムを紹介する連載。今回は、遊び心あふれるシャネルの新作小物をピックアップ。おおさわさん自身が欲しいと思うものを選んだラインナップは必見です。
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“大人の余裕”で楽しみたい、シャネルの新作小物
シャネルのアーティスティック ディレクターに、ヴィルジニー・ヴィアール氏が就任して以来、毎シーズン発表されるコレクションが俄然楽しみになりました。大人の女性のしなやかな美しさや遊び心を体現してくれるクリエイションであふれていて、私自身も「持ってみたい」と思うような洋服や小物の宝庫なのです。
今季のテーマは、南フランスにある名建築「ヴィラ ノアイユ」からインスピレーションを得たもの。「ヴィラ ノアイユ」とは、1923年、建築家のロベール マレ=ステヴァンスによって設計された、現代建築の傑作と名高いモダニズム様式の邸宅です。
館の主であるマリー=ロール&シャルル ド ノアイユ夫妻は、ガブリエル・シャネルと同様に前衛芸術家を数多く支援したことで知られ、彼らは同じ芸術家たちの集まりに参加していたのだそう。またマリー=ロールはガブリエル・シャネルのオートクチュールを好んで身に着けており、メゾンの顧客でもありました。
シャネルに縁の深い夫妻が愛した建築と、庭園が放つ生命力が表現された今回のコレクション。幾何学的なモチーフや華やかな色使い、プールサイドをイメージさせる遊び心あるデザインが随所に取り入れられた、心躍るアイテムの数々を紹介していきましょう。
大人だからこそ似合うシャネルのピンク
〈上から〉バッグ(縦12×横20×マチ6cm)71万3900円 チェーン付きクラッチ(縦9.5×横12.5×マチ3.5cm)44万8800円 ネックレス139万7000円 ピアス12万5400円/すべてシャネル
普段、ピンクとはあまり縁がない私ですが、「これなら持ってみたい!」と思ったのがこちらのバッグ。庭園に咲き誇る花々からインスピレーションを得たピンク色のバッグやフラワーモチーフのネックレスからは、ラグジュアリーな余裕が醸しだされるよう。甘い雰囲気の服に合わせるよりも、白シャツなど凛とした装いにコーディネートするのが私のイメージです。右のミニバッグはストラップの長さを調節でき、バッグインバッグとしても活躍してくれそう。
「キュビズムの庭」にインスパイアされたアクセサリー
1ネックレス63万3600円 2イヤリング60万6100円 3ネックレス40万4800円/すべてシャネル
大胆なサイズのアクセサリーは、ヴィラを象徴する三角形の庭が着想源。こういう迫力のあるデザインのアクセサリーを楽しめるのも、迷い世代ならではだと思います。モダンな服にも映えますが、あえて甘めの装いにつけるのも意外性があって素敵ですね。
「洗練と気取らなさ」を表現したモノトーン小物
バッグ(縦34×横29×マチ8cm)95万2600円 サンダル(ヒール高0.5cm)14万9600円 サングラス13万2000円 ブレスレット40万8100円 ピアス12万8700円/すべてシャネル
対極にあるようなもの同士の新鮮な組み合わせも、今回のコレクションのポイントの1つ。シャネルらしいモノトーンの小物には大人の遊び心があふれています。
ビーチバッグのようなボーダーのバッグは、職人の高度な技術により白と黒のレザーをパッチワークのように組み合わせたもの。カジュアルなトングサンダルは、インソールと鼻緒にドレスに使用する滑らかなベルベットをあしらっています。サングラスはアイコニックなレザーインターレースチェーンで飾られていて、どれも装いの主役にふさわしい存在感あるデザインです。
シャネルの根底にあるのは、女性を衣服の束縛から解放し、「自由」をもたらしたガブリエル・シャネルの功績。ヴィルジニー・ヴィアール氏は、ガブリエル・シャネルの信念を受け継ぎながら、現代を生きる女性が自由を謳歌するためのアイテムを提案していると思います。真の豊かさとは何かを知り、自分のためにお洒落を楽しむ──そんな成熟した女性に似合うのがシャネルなのです。
●お問い合わせ
シャネル(カスタマーケア)
フリーダイヤル 0120-525-519
おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト。雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。
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