50代半ばを過ぎますます輝く女優の飯島直子さんが、ご自身の美と健康、そして生き方についてまとめた著書『飯島直子 今のための今まで』(世界文化社)を上梓しました。
本の中で、長年にわたり婦人科系のトラブルを抱えていたことを明らかにした飯島さん。治療の副作用としてつらい更年期症状を経験をしたことがきっかけとなり、「50代を迎えた今が、自分ファーストで生きる絶好のタイミング」と、気がついたそうです。
女性なら誰もが通る更年期。その向き合い方について、飯島さんが今届けたいメッセージとは──。本書より一部を抜粋してお届けします。
20年来の婦人科系トラブルと
治療の副作用で経験した地獄の更年期症状
文=飯島直子30代前半から今まで、子宮筋腫(子宮の筋層にできる良性の腫瘍)と子宮腺筋症(子宮内膜に似た組織が子宮筋層内にできる病気)に悩まされてきました。どちらも月経痛や過多月経の症状を引き起こし、女性ホルモンのエストロゲンが分泌されている限り、進行を止めることはできません。
私の場合、生理前になると妊婦さんみたいにおなかが膨れて張り、ひどい倦怠感で体調がすぐれなくなります。生理がはじまると強い痛みと過多月経に悩まされ、1か月のうち約3週間はいつも体調不良を感じていました。当時はありがたいことに仕事が猛烈に忙しく、治療に専念することも難しかったため、漢方薬や痛み止めを使ってやり過ごしていました。それに、「閉経して生理がなくなれば、症状は治まる」と信じ込んでいて、とくに積極的に治療に取り組むことはありませんでした。
ところが、40代になっても症状は治まらず、むしろだんだん症状が重くなってきました。担当医と手術を検討しましたが結局取りやめ、50代を迎えました。
50代になると、そろそろ閉経が視野に入ってくるので、進行を抑える偽閉経療法(ぎへいけいりょうほう。子宮筋腫や子宮腺筋症の進行を食い止めるために注射や内服薬で生理を起こさせないようにする治療法)をすすめられました。これは、女性ホルモンの分泌を低下させて、生理が来ない「閉経と同じような状態」を薬によって作る化学療法。そして54歳のとき、この治療に踏み切りました。
私は本来、西洋医学に頼るのではなく、生活習慣を整えることで自然治癒力を高めて自分の体を回復させたいタイプなんですが、生理を止めることで、長年苦しめられた病気が改善できるかもしれないと考え、投薬治療に取り組みました。
このまま閉経に移行できるといいな、というタイミングでしたが、副作用として更年期のありとあらゆる不調に一気に襲われたのです。
「老いと向き合い、『こうあるべき』から自由になった」という飯島さん。著書では、飯島さん流の心と身体のセルフケア術を知ることができる。
ホットフラッシュやひどいむくみ、めまい、頭痛、倦怠感、イライラ、気分の浮き沈み、不眠……。年上の友人たちが苦しんでいた更年期障害の症状とはこのことかと、はじめて理解しました。
とくにひどかったのが、薬を飲みながら出演した舞台での経験です。強い照明が当たっているせいもあり、舞台上は暑くて暑くてたまらず、薄着をしていたのに服の下で汗が滝のように流れる体験をはじめてしました。あまりの体調不良に戸惑う一方、いずれ来る更年期症状の予行練習ができたような気にもなりました。治療をやめると更年期症状も次第に治まっていきました。
この治療法は、5か月を限度に行い、劇的な筋腫縮小はなかったものの、2センチほど小さくなり、投薬が終わり、生理が再開されると元に戻っていきました。
現在は、生理周期が長くなったため、以前よりは筋腫が縮小されてきたように思います。