追悼 篠山紀信さん 時代を撮る(前編)
2024年のはじめ、83歳でご帰幽された篠山紀信さん。家庭画報本誌では、27年間324冊の表紙を撮影し、記念号も含めると総カット326枚の『家庭画報』の顔を撮り続けてくださいました。
「新しいチャレンジも大切だけど、続けることはもっと難しくて大切」とはかつてのお言葉です。
そのレンズを通して私たちに呈されたのはまさしく被写体の魂であり、篠山紀信さん自身の情熱でした。誰もが一目置く巨匠であるのに、「撮りたい!」と思ったら自ら脚立を抱えて報道陣の中に飛び込む姿。
「撮影は現場で頑張ったみんなの賜物。だから現場の若い編集者がどの写真を使いたいのか、意見を大切にしてあげて」という信条。
予測不能な熱気あふれる撮影現場には、常に、篠山さんの温かい思いが流れていました。謹んでご冥福をお祈りいたします。そして、家庭画報にこんなにも素晴らしい軌跡を残してくださったことに、心から御礼を申し上げます。
家庭画報編集部一同
表紙を撮る
1977年1月号から2003年12月号までの27年間で324冊、記念号2誌を合わせ326冊、総計86人の女優を『家庭画報』の表紙で撮影していただきました。
フォトギャラリーで表紙をご覧いただけます>>写真芸術の結晶『シノラマニッポン』
1987年1月号「吉永小百合の顔(かんばせ)」より
吉永小百合さんの99本目の記念映画で市川 崑監督による女優・田中絹代さんの物語『映画女優』の東宝砧撮影所にて。吉永さんの扮装は左から28歳、17歳、41歳、30歳の設定。当時、吉永さんは41歳だった。
篠山紀信さんを偲んで想いを綴る──吉永小百合
写真集『吉永小百合』1995年11月10日世界文化社刊行篠山紀信さんの撮り下ろしに加え、フィルモグラフィや自身の文章で綴られた貴重な一冊。