「3月の催事は板場にとっては苦心の連続です。まず、お雛祭りに雛寿司は欠かせませんね。さらに食材や器、彩りに変化を持たせるにも、コース料理なので前後のつながりに配慮する必要があります。そのなかで新鮮さを感じていただけるようにしなくてはなりません。京料理の店は、それぞれがお客様に満足をしていただく工夫をしています。ちもとが心がけているのは派手とは違う、華やかなお料理です。お料理を見て楽しんでいただくためにテーマが大切であろうと思います。大人のお客様がご覧になって綺麗で晴れやかに感じていただきたい。その点でも、お雛祭りは華やいだお料理を出すには、とてもよい機会です」(店主)。
個室の一例。窓の向こうは鴨川。京都ならではの環境で優雅にお食事を堪能できます。お雛祭りというと3月3日。終わればすぐに片付けるものとお考えの方も多いのではないでしょうか。京都を含め、一部地域やお店によっては、いまも旧暦の3月の節句(現在の4月初旬)にお雛祭りを行うところがあります。ちもとのお雛祭りは、4月3日まで開催。古式ゆかしいお雛様と季節ならではの京料理で、春の京都の楽しみがますます広がります。
〔ちもとのお雛祭り〕●開催期間
2018年3月1日(木)~4月3日(火) 12時~15時まで
※3月20日(火)は休業
●料金
雛御膳 1万250円 雛懐石 1万7250円、2万3000円、3万4500円(すべて税別)
※ 予約は2名から。
※ 雛御膳は、5名以上から個室が用意されます。5名未満の場合は相席となります。
※ 雛懐石は、2名から個室が用意されます。
※上記料金には、いずれもサービス料が含まれています。 川田剛史/Tsuyoshi Kawata
フリーライター
京都生まれ、京都育ち。ファッション誌編集部勤務を経てフリーライターとなり、主にファッション、ライフスタイル分野で執筆を行なう。近年は自身の故郷の文化、習慣を調べるなか、大村しげさんの記述にある名店・名所の現状調査、当時の関係者への聞き取りを始める。2年超の調査を経て、2018年2月に大村しげさんの功績の再評価を目的にしたホームページをスタートした。
http://oomurashige.com/ 取材・文/川田剛史 撮影/中村光明(トライアウト)