〔特集〕トップブランドの春夏最新コレクションをまとって オーラを放つ時代の主役たち 多彩な活躍で老若男女問わず愛される方々がトップブランドの新作を身にまとい、颯爽と登場してくださいました。溢れんばかりの5人のオーラを、それぞれの素顔が垣間見えるインタビューとともにお届けします。
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オーラを放つ時代の主役たち・舘ひろしさん
Fendi ソフトで軽いラム革のロングコートの下は、ハサミやペンチなどの工具がプリントされたユニークなシャツ。「僕は保守的だからね。普段は無地かストライプ」という舘さんにとっては、ちょっとした挑戦となりましたが、見事に着こなされていました。コート150万7000円 シャツ23万1000円 ニット14万3000円 パンツ11万5500円/すべてフェンディ(フェンディ ジャパン)
「服を選ぶとき、着心地は気にしない。ずっと着ていれば、なじんでくるでしょ?」
大ヒット映画『ゴールデンカムイ』では“実は生きていた土方歳三”を圧倒的な存在感で演じきり、2024年5月には柴田恭兵さんとのダブル主演映画『帰ってきた あぶない刑事』が公開予定の舘 ひろしさん。
和装も洋装もすべて絵になる舘さんがファッションに目覚めたのは高校生の頃でした。「『メンズクラブ』で見る石津謙介さんと『VAN』の服が格好よくてね。ガールフレンドが『VAN』の赤い布ベルトをくれたときは嬉しかったなぁ」。
石津謙介さんといえば、「VAN」のデザイナーでアイビールックの生みの親。メンズファッションの神様とも呼ばれた人物です。
Tod's フロントファスナー付きのキッドモヘア(生後1年未満のアンゴラヤギの毛)のブルゾンは、襟裏やポケットのタブ、フロントの裾に配したレザーがアクセント。もともとトッズの靴がお好きだという舘さんは、「このサンダルも洒落てるね」。ジャケット49万600円 パンツ12万7600円 靴14万6300円/すべてトッズ(トッズ・ジャパン)
「格好いい人から受けた影響は、今も続いてる」
そんな石津さんと並んで、舘さんに影響を与えたのが、映画監督や俳優として活躍した伊丹十三さん。
「会ったことはありませんが、格好いい人でした。僕がネクタイを締めるとき、下になる小剣(幅の細いほう)を長くするのは、伊丹さんのコピー。あと、『2着目に作るスーツはタキシード』と書かれていたのを何かで読んで、25歳のときに『セルッティ』でタキシードを作りました。その上着は今でも着られますよ」
ちょっぴり得意げに微笑む舘さん。タキシードといえば、舘プロ所属の俳優、黒川想矢さんが映画『怪物』の出演者としてカンヌ国際映画祭の授賞式に出席した際に着たタキシードは、舘さんからのプレゼント。
黒川さんは舘さんとドラマで共演して憧れ、舘プロ入りを直談判した強者です。
「フルオーダーで作りました。授賞式を見たら想矢が一番よかった。14歳でダブルのタキシード、なかなかいませんよ」。
さすがは舘さん!とスタッフが盛り上がると、「将来は彼のおかげで左うちわです(笑)」と照れ隠しのように一言。大人も子どもも惹きつけてやまない、唯一無二の存在です。
舘ひろし1950年愛知県生まれ。1976年に映画『暴力教室』で俳優デビュー。1983年石原プロモーション入社。1986年にドラマ『あぶない刑事』で大ブレイク。2018年の映画『終わった人』にて第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞、 第42回日本アカデミー賞優秀主演男優賞を受賞。2020年に旭日小綬章を受章。2021年に舘プロを設立。2024年5月24日には映画『帰ってきた あぶない刑事』が公開予定。目下、夢中なのはクロワッサン。
(次回へ続く。
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