脳を喜ばせると、老化スピードが緩やかに⁉
脳の萎縮は加齢によって進んでしまうから、脳の老化は止められない――そう考えてしまいがちですが、「老化スピードを遅らせることはできます」と瀧先生。
「脳には変化する力、『可塑性(かそせい)』があり、ネットワークによってどこかの調子が悪くなれば別の分野がそれを補って、何歳になっても機能を高められることがわかってきました。また、考える、判断する、会話するなどの人間らしい行動は、数分から数時間前の記憶(短期記憶)を重ねて行われていますが、この短期記憶の中枢である海馬の神経細胞は、年齢を重ねても新しく生まれ変わるといわれています。そして海馬は楽しいと感じると体積が増え、それが記憶力の維持につながることがわかってきています」。海馬、つまり脳を喜ばせれば、寿命を全うするまで健康な脳であり続けることができそうです。
前頭葉と海馬が、脳の健康の鍵言葉を話す、意思決定をするなど、人間ならではの高度な働きをしているのが前頭葉。音を聞くことや記憶、言語の理解にかかわっているのが側頭葉。その奥にある海馬が、記憶全体を司る、司令塔の役割を担っています。