藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
記事一覧はこちら>>
3月の花「シレネ」
根付きのスズラン、アカシア‘さきがけ’、フリージア‘エアリーシルク’、スカビオサ‘ホワイトラブ’、宿根スイートピー、スイートピー‘ベネラ’と、春の到来を感じさせる花でウエディングブーケを制作。ポンポンと風船が飛んでいるようなシレネ‘小布施の郷’が、やわらかな緑色で全体をまとめてくれます。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremoloかわいらしさと使いやすさ、どちらも抜群の頼りになる花
風船みたいに膨らんでいるのは萼(がく)。その先に清楚な白花を咲かせる姿がなんとも愛らしい。しかも萼も茎も淡い緑色でやわらかな印象。どんな花とも相性がよく、贈り花をナチュラルな雰囲気に仕上げてくれるのがシレネ‘小布施の郷’です。出回り時期の2月下旬〜4月中旬、この花がお店にないことはありません。何しろ、月、水、金の3回の花市のうち、2回は仕入れていますから。
栽培しているのは、クリの産地として有名な長野県の小布施町で、‘小布施の郷’はここで誕生した品種です。以前によく流通していた‘グリーンベル ナナ’と‘ハニーバード’の交配品種だそうです。
萼も花も以前よりひとまわり大きくなり、茎がしっかりしてブーケにもアレンジにもより使いやすくなっています。花もちがとてもよいので贈り花に安心して使うことができ、届いたあとも長く楽しんでいただけます。
小布施町の「富岡農園」さん栽培の‘小布施の郷’。花も萼の膨らみも大きくなって以前の品種より存在感が出ます。また、以前はやわらかかった茎がしっかり直立するようになりました。
シレネは北半球をメインに300種あるといわれ、ムシトリナデシコの和名で知られるシレネ・アルメリアは、よくガーデンで利用されるので、見かけたことがあると思います。切り花で出回るのはシレネ・ユニフローラで、萼が膨らむのが特徴です。同じシレネでも種類によってまったく花形が異なるのですが、いずれも周囲に自然に溶け込むのが上手で、それでいて、かわいらしさという個性もしっかりアピール。それがシレネが切り花でも園芸でも長く人気が続いている理由ではないかと思います。
ナチュラルな雰囲気が欲しいとき、大人っぽいかわいらしさをアピールしたいとき、ぜひシレネ‘小布施の郷’を利用してみてください。
シレネ‘小布施の郷’を使ったブーケ&アレンジメント
赤い花の上にシレネ‘小布施の郷’をたくさん飛ばしたアレンジは、赤とやわらかな緑色の対比でインパクト大。ヘアサロンの開店を祝う贈り花です。バラ‘ルージュベリー’、チューリップ‘ブレスト’、濃いピンクと赤のライスフラワーと、花形の異なる赤い花を集めて変化を出しました。
ご主人の誕生日に奥さまからの贈り花。シレネ‘小布施の郷’の出回り時期にちょうど入荷するミモザと合わせて束ねました。アカシア‘さきがけ’、チューリップ‘アンタクティカフレーム’、ラナンキュラス‘リナ シャウエン’、リシアンサス‘アンバーダブルモヒート’、パンジー‘カルメン’、ニゲラ‘ミスジーキル’。春の花が豊富に揃う時期の贈り花は、制作するのも楽しい!
子ども服のお店のオープンに春の花のアレンジをお届け。‘アバンガード セピア’、‘クラウンオブダイナスティ’、‘アンジェリケ’の3種のチューリップに、シレネ‘小布施の郷’とアカシア‘さきがけ’を加えました。お店に来たお子さんが風船みたいな‘小布施の郷’を見つけれくれることに期待して。